NPO法人FUSEとNPO法人いなかみの連携企画「個人事業」をテーマにした連載記事、第6回をお届けいたします。

今回は香美市の昔ながらの喫茶店。しかし、そこは中に入るとおしゃれで素敵な空間。フェイスブックやInstagramなどの口コミで人気の「カフェ&キッチン あかいみ」下元康司さん、亜衣さんにお話を伺いました。

あかいみ6

店を始めたきっかけはお母さん

「うちの母がずっとここで経営をしていたんです。僕は嫁さんと高知市内のレストランで働いていて、僕は11年ぐらい厨房で仕事をしていて、嫁さんは当時バイト生でした。結婚するにあたって実家をやろうかということで、香美市に帰ってきて始めました。もう8年目になります。

店自体は僕が小学校の頃からずっとこのお店でした。母は今も厨房に入ってくれていますが、メインはうちの嫁と僕とうちの姉の三人でやっています」

あかいみ2

香美市に来てからの変化

康司さん
香美市に来てからの変化と言ったら…。そうですねぇ、子どもを育てるには良い環境ですよね。迎えにしても何にしても近場にあるのがいいところだと思います。最近はいろんな店をやる人が増えてきましたね。

でもやはり香美市自体の人口は衰退していて、商店街は人通りも少なく、夜になったら特に寂しい雰囲気ですし、ここで商いをやっていけてるのだろうかと思ったりもします。

亜衣さん
ただ人通りが少ないとはいえ、このカフェレストランには遠くからお客さんがやって来てくれます。仕事を始めてよかったなあと思うことはやはりお客さんが最初の頃よりたくさん来てくれるようになったことです。

私たちはイベントをしたりワークショップをしたり facebook を活用したりして、常に情報発信をしていくようにしています。お店の中に飾っているのは作家さんの作品もあるし、ワークショップで作ったものもあります。お姉さんが気に入った作家さんに声をかけて置いているのもあります。

あかいみ1

口コミでいろんな方が情報を知って、あちらから「作品を置いてくれませんか」と言ってくださる方もいます。ワークショップも毎月入っています。昔は地元の常連さんばかりの店だったんですが、 SNSを通じて遠くから口コミで来てくれる若い方やお客さんが増えました。

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私は機械音痴だったんですが facebookで発信したいと挑戦して、やっとできるようになりました。そうするとやっぱりそれを楽しみに見に来てくれる人がいるんですよね。Instagramもやっているので、そういった発信をやってきたのは大きかったなぁと思います。

あかいみ小部屋

ワークショップはランチを楽しみながらゆっくり創作できる個室スペースで。お店の中にもかわいい手作り雑貨のコーナーがあります。

個人事業を軌道に乗せるポイント

康司さんも亜衣さんと同じく「今の時代はソーシャルネットワーク」という意見です。

もう全然違います。うちらがぐっと軌道に乗ったのは facebook と instagram の力が大きいです。やはりそこから口コミで注文が来ますもの。売り上げも導入前と導入後では何倍も違います。もう新聞に広告を打つ時代じゃないと思いますね。

昔は広告料を払って宣伝する必要があったけど、今は自分たちで発信できるのが強みです。広告は、それを見て来た人かそうでないのかが今一つ分からないですし、ポイント制などを取り入れていかないと、いつも来てくれる人か初めての人かも分かりません。

その点SNSは店側とお客さんが双方向にやり取りができる、仲良くなれるのがいいところです。つながりを持っていると、発信した時にまたリピーターとしてお店に来てくれます。

「広告」という意味では、高知新聞さんは読者が多いから記事になると反響ありますね。新聞に載ったということを更に facebook で発信するのが最大に拡散できる方法です。今の時代、いろんなメディアを利用してPRしていくのは大切だと思うんですよ。

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あかい実のフェイスブックとnstagramおすすめメニューや料理の紹介、ワークショップ情報など目にも楽しく美味しそう。

個人事業を始める人へのアドバイス

小さくやることです。従業員を雇って経営を始めるというのは、すぐにしんどくなる。みんな最初は夢を抱いて始めると思うんですよね。でも注意しないと「その夢ってすぐに朽ち果てる」というのがあるんです。

手を広げすぎると、毎日、毎月の支払いで大変になっていく。だから、最初はとにかく小さく。手を広げず、自分のこなせる範囲でやっていくのがいい。その内、一人二人の従業員を雇って経営するのがベストかもしれません。

そうじゃなかったらもう、休みもないし、毎日仕事のことを考えねばならなくなってがんじがらめになりますよ。飲食店というのは自分の余裕をもってやる事が大事かと思います。

僕なんかは自分の母親を見て育ってきましたので、店を続けるというのは決して「甘くない」とわかっているんです。目先のことだけで始めると生活設計も家庭も何もかも全部狂います。だから同業者は皆、頑張ってやってますよ。僕らも本当にがんばってます。だからこそ、手を広げずにと言いたいですね。

今、僕が皆に言うのは、「会社勤めが一番いいんだよ」ということです。例えばお金を借りるにしても何しても、給料明細を見せたら形がポンと出てくるでしょう。でも僕らのような飲食店や自営業の人というのは形がないので大変なんですよ。

でも、やっぱり、夢を抱くのはいいことだからね。「夢を抱いてやるなら、うんと考えてやらないかんよ」と言ってあげたいですね。

あかいみ3

最後に10年後の夢についてひとこと

康司さん
「そうですね。10年後はローンも終わってフリーになって、ここを売るのか、建て替えるのかどういった形になるかはわかりませんが、小さいお店を作りたいですね!」

亜衣さん
「10年後は夜もオープンできるようになっていたら楽しいなあと思います。今は夕方までで精一杯ですが、夜も明けてほしいというお客さんの声もあって、そういうこともいつかできたらなと思います」

取材をさせていただいたのは11月の終わり。12月から年末にかけてお店は一番忙しい時期です。「本当に、毎日毎日やねぇ」と二人で顔を見合わせてにっこり笑うのを見て、とても仲の良いご夫婦だなぁと私までニッコリしてしまいました。

いいアドバイスがたくさん聞けました。まだ行ったことのない方も、「あかいみ」のフェイスブックとInstagramをぜひチェックして足を運んで見てくださいね。

cafe&kichen あかいみ(カフェ/喫茶)
高知県香美市土佐山田町2288-1

【外部リンク】

カフェ&キッチンあかいみ Facebookページ
https://goo.gl/4DAU6p (短縮URL)

カフェ&キッチンあかいみ Instagram
https://www.instagram.com/explore/locations/786128151/

【関連リンク】
移住者の小さな起業を応援するプロジェクト「いなか・ラボ」スタート
http://inakami.net/works/inakalabo-11381.html

提供:NPO法人FUSE
企画運営:NPO法人いなかみ

この記事を書いた人

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【プロフィール】

渡辺瑠海 わたなべるみ
ライター、編集者、エッセイスト

放送業界を経て25歳で出版の世界へ。東京でライターとして雑誌企画、書籍制作に携わった後2003年に高知にUターン。書籍、冊子を手がける。著書『田舎暮らしはつらかった』『龍馬語がゆく〜日常をハイに生きる土佐弁』『イヌキー・私とトートバッグ犬の10年』高知新聞連載『はちきん修行記訪ねて候』など。

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