田舎で自由な暮らしがしたいのに、なぜ地域行事へ参加しなければいけないのか?家賃を支払っているからいいじゃないか。家を買ったんだから好きにしていいじゃないか。しかし、そんな移住者の自由をよしとしない地域住民。そこには都市の人が憧れる田舎を形づくってきた地域文化を受け継ぎ、これからもそれを守らなければいけないという想いがあるように感じました。

山間の集落

集落消滅の危機なのに人を選ぶのか?

都市に住む人が田舎暮らしに憧れて移住し、地域住民との関係がうまくいかず、都市に帰ってしまうという話はよく聞きます。そのため、田舎暮らしを勧める書籍や移住者支援サイトでは「田舎暮らしの心得」などが、必ずと言っていいほど書かれるようになりました。でも正直なところ、私はこの心得に違和感を覚えていました。言っていることはもちろん正しい。でもこのままでは集落そのものが消滅してしまう危機にあるのに、そんなことを言っている場合なのか?といった感覚があったからです。ですが、実際に地域を訪問し、地域住民の話を聞きはじめると、どうして田舎の心得が必要なのかが少しずつ理解できるようになってきました。

魅力的な田舎は自然に生まれたわけじゃない

あくまで私の感想ですが、都市の人が魅力的だと感じる田舎は、決して自然に生まれたわけじゃない、というのがその理由です。何十年も何百年も、代々そこに住み続けた人達がつくりあげ、守ってきた文化があるからこその魅力なんだと思います。豊かな自然や美しい景観が残っているのも、その地域に自然信仰があり、自然を大切にする文化があったことが大きいと感じます。

例えば秋になると、神祭(じんさい)と言われる地域の神様を祭るお祭りが各地で行われます。都市でお祭りといえば(外見上)たくさんの屋台がでて人々を楽しませるものですが、田舎のお祭りは地域に感謝するための要素が非常に強いです。だから神祭が近くなると、住民総出で草引きや溝掃除が行われ、地域を綺麗にしてその日を迎えるのです。

神社の手洗い
こちらの神社にあった手洗いには「天保」の文字が

田舎の感謝は生きるため

ではなぜ地域や自然に感謝するのか。それは単純に生きるためだと言えます。今でこそ物流が発達し、どんな山奥でも物資を配達してもらえますが、ほんの数十年前の山にはそれが無かった。山で生きるためには農作物を育てる水を確保したり、木の実や薬草など、自然の恵みを得ることが必須だった。生きるために自然は欠かせないものだった。だから自然に感謝し、その気持ちを伝える神祭が重要とされてきた。そんな背景が魅力的な田舎の景色を作っている。少なくとも私には、そのように感じられました。

文化が無くなれば魅力も無くなる

そんな田舎の魅力が危機にあります。過去に無い人口減少と高齢化によって、その魅力を保つことすら困難になっているためです。だから移住者に来てほしいと願っています。地域の人に本音を聞くと、草刈りや地域行事は正直めんどくさいと口にすることもありました。それでも辞めずに続けているのは、それが無くなれば地域の価値が無くなってしまうことを無意識に感じ取っているからだと思います。

そこに空き家があり、貸したい人・売りたい人がいて、田舎暮らしを求める人が移住して住み始めることは当事者達の自由です。草刈りや地域行事に参加することも強制ではありません。(実際、仕事等の理由で参加できない人も多い)それでも、地域と共に生きなけば、生きる気持ちを持たなければ、そこに感じた魅力は近い将来無くなっていくことは目に見えています。

神社の参道
とある神社の参道。手入れしなければ道無き道になりそう

地域の文化を守ること

これが私の感じた、田舎の人が移住者に対して、草刈りや地域行事への参加を迫る理由です。移住者が地域の人と一緒に草を刈り、地域行事に参加することは、その地域の文化を守り、地域に新しい風を送り込み、地域に希望を与えることに繋がると実感しています。

とは言うものの、田舎の人達もまた、せっかく来てくれた移住者に無理強いしちゃいかんと気を遣ってくれることの方が多いです。そんな優しさに応えて、移住者が率先して地域行事に参加することができたなら、きっとその地域に受け入れられ、その地域に必須の人材となっていきます。

One thought on “田舎の人はなぜ草刈りや地域行事への参加を迫るのか?

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