香美市は「土の下が岩盤だから地震に強い」と言われることがあります。
これは真実でしょうか。
しっかり考えてみたいと思います。
家や道路があるのは地表。その地表がどれだけ揺れるかは、次の3つが関係しているそうです。
- 震源での地震の大きさ(マグニチュード)
- 震源からの距離
- 表層地盤(地下の表面にある地層で深さ数十メートル程度まで)
震源で発生した地震の揺れは、岩盤を伝わる間は距離に応じて小さくなっていきます。
これが表層地層に達すると、表層地盤のやわらかさに応じて揺れが増幅されます。
この現象は平成13年(2001)の芸予地震で証明されたことが有名です。
ここには、地下の岩盤と地表との両方に地震計がありました。
地震の揺れの強さを表す単位にガルというものがあります。
1ガルは毎秒1cmの割合で速度が増すこと(加速度)を示しています。
芸予地震では震源から60km以上離れていた広島市の北にある湯来町で、最大832ガルが計測されています。
震度の階級は0から7までですが、400ガル以上が震度7相当なのですごい揺れになっていました。
しかし、地下100mの基盤となる部分に設置してあった地震計の数値は150ガルでした。
地質の影響で地表では5倍以上の揺れが起こっていたことになります。
地震の専門家である島村英紀教授は著書で次のように語っています。
「地盤による振動の増幅は皿に載せたこんにゃくを皿ごと振っているようなものだ。皿の動きより上に載せたこんにゃくのほうがずっと揺れる。」
一般的に地盤とは、地面から深さ約100メートルまでの部分のことを言います。
日本の多くの土地の地盤は、主に「沖積層(ちゅうせきそう)」と「洪積層(こうせきそう)」という2つの層から成っています。
沖積層は約1万年前以降にできた層で、比較的やわらかいため、地震のときは振幅が大きく周期が長くなりやすくなります。
洪積層は約1万年前から200万年前にできた層で、岩盤や砂れきでできていて、比較的硬く、地震の時は振幅が小さく周期が短くなる傾向があります。
この二つの層は、場所によってそれぞれの層の厚さが異なります。
香美市は地質図を見ると洪積層部分が多いエリアですが、同じような平らな地面でもその下の地盤は様々。
極端な話、家の敷地のどの部分でも同じように構成されているとは限りません。
地下を見極める大きなポイントは次の4つだそうです。
地盤の強度、土質、地盤の成り立ち(特徴)、地歴(過去はどのような土地であったか)
自然の地形、人工的な埋め立て・造成などで、均質でない地盤がつくられていることもあります。
そんなこと言われても、足元の下がどうなっているか、わからないですよね。
「地質調査」や「地盤調査」を行うという手がありますが、これにはかなりの費用がかかります。
地盤以外の問題はどうでしょうか。
香美市の標高は香美市役所で約43m、香美市の最も低いところで20m弱ありますので津波に対しては比較的安心なエリアだと思います。
ただ、震災リスクは他にもあります。
「香美市は地震に強いのか」
必ずしも「絶対に地震に強い」とは言い切れないと思います。
大事なのは「天災は忘れた頃にやってくる」と言った寺田寅彦が伝える「正当にこわがる」だと思います。
まずは事実確認と認識。
自宅や所有物件などの地盤が地震の際に揺れやすい地域かどうかを確認してください。
ご自分の地域の地盤がどうなっているのか、ある程度調べることができるサイトがあります。
※住所や地域名を選択すると、その地域の揺れやすさの目安、地形の種類などが表示されます。
※過去にボーリングや地質試験を行った結果を閲覧できます。
※香美市の標高は、このサイトで調べることができます。
次に、事前にできることを確実に行う。
- 家具などの転倒防止対策などを念入りに行う。
- 避難先まで歩いてみる。(防災さんぽ)
- 非常持出品・非常備蓄品を完備する。
香美市にお住まいの皆様には、是非次の情報や冊子をご覧いただくことをお勧めいたします。
※この情報は香美市役所の本庁・各支所・出張所で冊子でお渡しすることができます。
また、香美市では、住宅の耐震診断・改修、家具転倒防止、ブロック塀撤去等、災害対策補助金を用意しております。
詳しくはホームページまたは香美市防災対策課(℡0887-52-8008)までお問い合わせください。
「もしも」に備える防災講座もあります。
どなたでもご参加いただけますので、興味関心ある方は是非ご来場ください。
(イベントの詳細はリンクから専用チラシをご覧ください。)
日時 2020年2月3日(月)14:00〜16:00
場所 香美市中央公民館ホール
参加費 無料
日時 2020年2月4日(火) 9:30〜12:00
場所 高知県立青少年センター(香南市野市町西野303-1)
参加費 無料
託児 あり(要予約)
日時 2020年2月9日(日)10:00〜13:00
場所 奥ものべふれあいプラザ
参加費 500円(受講料・昼食込)
<参考資料>
・書籍
地震の基礎知識60(著者:島村英紀 発行:花伝社)
役立つ!!地盤リスクの知識(発行:公益社団法人 地盤工学会)
地盤安心住宅をつくる方法(著者:山本強・保坂貴司 発行:株式会社エクスナレッジ)
・ホームページ
一般財団法人日本耐震診断協会「地震の揺れの大きさは地盤で変わる!」
<監修>
香美市定住推進課
NPOいなかみ