香美市の地域文化や学校の記念誌を見ていると、寄稿されている思い出ばなしに「こぼて」という言葉がよく出てきます。
一昔前まで、冬の子どもたちの楽しみに「こぼて」や「わさ(わな)」、そして「とりもち」というものがありました。山で小鳥を取るわな猟の一種です。
現在は鳥獣保護管理法で鳥類のわな猟が禁止されているので、残念ながらこの遊びを行うことはできませんが、どんなものだったのかをご紹介したいと思います。
こぼて
用意するもの:小刀とタコ糸(2メートルぐらい)、餌になる木の実。
① 鳥がいそうな山の中で、小さくて、倒すと強い力でよくしなる木を探す。
② その木の下に短い棒を置き、両側を適当な枝を↾ の形にカットして固定。
③ 別の短い棒の両側にタコ糸をくくりつけ、糸は②の下を通して①の枝を引っ張って結ぶ。
④ ③の棒を少し持ち上げ、②と③間に棒を1本用意。①の枝から別の紐で③が動かないようストッパーの仕掛けを作る。
⑤ 仕掛けの後方を細い枝で囲いを作り、中に餌になる木の実を置く。
鳥が餌を求めて中に入ろうとすると、④に触って③が落ち、鳥の首の骨が折れる。
わさ(わな)
用意するもの:小刀と専用の仕掛け糸、餌になる木の実。
「こぼて」と同じような囲いわなですが、入り口に仕掛け糸をセットします。この仕掛け糸は黒く見えにくいもので、輪っかになっています。
鳥が餌を求めて中に入ろうとすると、仕掛け糸の輪っかに首を突っ込み、暴れているうちに窒息します。
とりもち
用意するもの:専用のとりもち
モチノキやヤマグルマなどから作られた粘着性の物質で、鳥が触ると脚や羽が離れなくなります。
鳥がとまる木の枝などに塗っておいて、くっついて飛べなくなったところを捕まえます。
これらを仕掛けておいて、学校が終わったら毎日のように山の中を駆け回り、仕掛けを点検。
鳥が捕れていたら持ち帰り、毛をむしって丸焼きにして食べる。今考えたら、結構ワイルドなことをやっていたものです。
昔の子どもたちは、何も考えず、まさに命をいただく体験を積み重ねていました。
コンピューターの発達により、ますますリアルになる仮想現実の世界。
アバターで「仮想の自分」を作り、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)でコミュニケーションをとる時代。
子どもたちの未来にとって、これでほんとにいいのだろうか、と思う今日このごろでありました。
NPOいなかみ
「こぼて」の紹介ありがとう。和歌山県日高川町でも、子供のころ作って遊びました。「おおし」と呼び、肥後守、麻糸で作りました。跳ねる木を少し削って緩くすると生きたままで捕らえられるか?などと工夫したものです。点検を忘れてタヌキかキツネに胴体を持っていかれたのが思い出。
この罠は日本全国にありそうですね。小説「しろばんば」の小鳥の死刑台も同じ罠だと思う。各地ではどのような呼び名になっているのか知りたい所。私は小学校6年時、鳥獣保護法について教えられて止めてしまったが。現在、罠猟で鹿、猪を相手にしてます。
めちゃくちゃ懐かしいです。
こちらで検索ヒットして助かりました。
30年前に兄妹と作っていましたよ。
今はもう仕掛けるのはダメなんですね。
名前が出て来なくて、方言なのかもとネットで探しましたが、西日本では割と通じるみたいですね。
こんばんは。突然失礼致します。
最近はコンプライアンス強化が強く言われるようになり、こうした罠で鳥などを獲る事も難しくなりましたね。ですが昔は、田舎の子たちはどの地域でも、こうした罠で鳥など獲っていたと話には聞きます。私は経験が無いのですが。
ところで、「こぼて」のイラストがとても上手ですね。こちらのイラストを、使わせて頂きたいと思いまして、メッセージさせて頂きました。不特定多数に配るニュースレターの挿絵として使わせて頂けないでしょうか?
商用使用ではありません。了解頂ければ、紙媒体とWeb掲載の形で、使わせて頂く事になります。
不躾なお願いで申し訳ありません。よろしくご検討のほどお願い申し上げます。
メッセージありがとうございます。こちらのイラストは当団体で作成したものではないため利用許可は出せない状況です。ご了承くださいませ。