NPO法人FUSEとNPO法人いなかみの連携企画「個人事業」をテーマにした連載記事、第19回をお届けいたします。

四国で初めてドクター・オブ・カイロプラクティックの学位を取得した溝渕さん。香美市に開業して2年めになります。今日は「オーツリーカイロプラクティック」のカイロプラクター溝渕知秀さんにお話を伺いました。

カイロプラクター溝渕さん2

この仕事をはじめたきっかけ

私は香美市出身です。私がまだ小学校に上がる前から母は首が悪く、当時野市で開業されていたカイロの先生にお世話になっていたことから、幼い頃からカイロプラクティックが身近にありました。中学の頃にはまったネットサーフィンで、ある時カイロについて調べるうちにどんどん興味が湧いて、中学卒業の頃にはカイロプラクターになることを決めました。日本には正式な教育機関がないこともあり、どうせなら本場で学べたらという思いもあり高校2年生の頃には卒業したらアメリカでカイロプラクティックを学ぶことを決意していました。

ありがたいことに両親の理解もあり、卒業後すぐにアイオワ週のダベンポート市というところにある大学に通うため渡米したんです。ダベンポート市はカイロプラクティックの発祥の地で聖地みたいなところです。そこでドクター・オブ・カイロプラクティックの学位を取り、卒後のインターンも含めて結局7年間いました。そして香美市に帰ってきて開業し、もうすぐ3年目になります。

カイロプラクター溝渕さん3
カイロプラクター溝渕さん4
まだ新しい施術の部屋と待合室。明るく静かでリラックスできる。

開業して良かったこと、難しいこと

カイロプラクティックに関しては、まだまだ認知度がいまひとつというところがありますね。何をするところなのかよくわかっていない方が多いといいますか。カイロプラクティックの目的というのは、症状とか病気に対する「治療」ではなくて、からだ本来の正常な機能を発揮させるのが目的なんですよ。

腰痛や肩こり、首の問題始め様々な身体の悩みを持った方が来られますが、ここではまず、原因となるものを取り除くことが前提なので、歩き方や座り方など、その方が日常的にされている姿勢や身体の使い方から見ていかねばなりません。その上で初めてカイロプラクティックの専門である「背骨のケア」が生きてきます。主な層としては男女共に30代〜50代ですが、姿勢やスポーツの故障に悩む小学生や中学生の患者さんも増えてきているんですよ。現在下は1歳未満、上は84歳まで見ています(笑)患者さんの口コミで新たに来ていただける人もいまして、こういう広がりはとても嬉しいです。

カイロプラクター溝渕さん1
オーツリーという名前は「最高の健康状態」を表すOptimum health”と、生き生きと成長する生命力溢れる「樹(Tree)」という意味だそうです。健康づくりの拠点といった感じです。

あと、ちょっと残念なとことは、日本ではカイロプラクターはレントゲン写真を撮れないんです。ですからここではまず患者さんに提携した病院でレントゲン写真を撮って来てもらうようにしています。

レントゲン写真を見ると、どれだけ背骨の問題が進行しているのか、24個の骨が繋がってできている背骨のどこに問題があり、どういう施術が必要なのかを分析し客観的に見る事ができます。カイロプラクティックケア適用外の問題を見つけたり、どれくらい悪かった部分が改善されたかもチェックできますので、安全で効果的なカイロプラクティックケアを提供する上でレントゲンはなくてはならないものなんです。

カイロプラクティックは職業や生活習慣などで生じる骨格の歪みを整えていくことで、からだの代謝を向上させます。ですので、妊婦さんなど体の変化でどうしても背骨等に負担がかかる時期や、成長を続ける乳幼児などにもカイロプラクティックは有効なんです。

カイロプラクター溝渕さん5
妊婦さん、乳幼児、育児をするお父さんやお母さんなどとも積極的に交流し、カイロプラクティックと健康への認知度を深める活動をするほか、高新文化教室ではスポーツによるケガのリスクを下げるためのトレーニングを教えている溝渕さん。溝渕さんと同じく米国パーマー大学を卒業し小児カイロの認定を取得した小畑良明さん(カイロキッズ神戸)と共に「おとうさんのための元気になる育児」などの講演会もサポートしています。

香美市で起業する人へのアドバイス

香美市はポテンシャルが高い場所だと思っています。空港にも近いですし、高知市と繋がる あけぼの街道の整備で非常に便利になりました。それに標高が高く地盤もしっかりしているので、地震にも強いと言われているため、近隣から引っ越してくる人、移住してくる人は年々多くなってきていると感じています。だから今後も香美市で起業するポテンシャルは大きいと思います。

ただ、それでも顧客数から言うと、都市部と比較すればかなり少ないんですよね。あけぼの街道沿いも住宅地は増えていますが商業施設は全然少ないため、十分な人の流れが生まれていません。このあたりは行政に頑張っていただきたいところです。

このように地域を一緒に盛り上げるという意味でも、起業するなら地域と連携していくことが必要になります。商工会などにも行き来してしっかり地元とつながることも大切だと思っています。

カイロプラクター溝渕さん6
体、背骨のゆがみを治すと、痛みなどの他にも身体治癒力が高まっていく。「背骨がいちばん大事です」という溝渕さん。

10年後のビジョン

この仕事をしていると学ぶべきことがいくらでもでてきますので、さらに勉強して高知で日本でカイロプラクティックの認知度を高めていきたいですね。

お話ししたとおりカイロプラクティックの本場はアメリカですが、今はインターネットがあるので、わざわざ行かなくてもネットを通じて講義を受けることができ、双方向の話もできます。場所を選ばずに勉強や研究ができる。本当に便利になったなぁと感じています。

 

「中学生の頃にはカイロプラクターになることを決めていた」というお話を聞いて、それを一貫してやりとげた溝渕さんのお話には驚くほどの意思の強さを感じました。新しくなったあけぼの街道、確かにまだまだ住宅地ベースでもったいないなぁと感じます。これから大きく変わっていくポテンシャルの大きな香美市。溝渕さんのさらなる活躍が楽しみです。

 

■オーツリーカイロプラクティック
高知県香美市土佐山田町 103 5
電話: 0887-52-8777
(マップ)

【外部リンク】
オーツリーカイロプラクティック
http://otreechiro.com/

【関連リンク】
移住者の小さな起業を応援するプロジェクト「いなか・ラボ」スタート
http://inakami.net/works/inakalabo-11381.html

提供:NPO法人FUSE
企画運営:NPO法人いなかみ

この記事を書いた人

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【プロフィール】

渡辺瑠海 わたなべるみ
ライター、編集者、エッセイスト

放送業界を経て25歳で出版の世界へ。東京でライターとして雑誌企画、書籍制作に携わった後2003年に高知にUターン。書籍、冊子を手がける。著書『田舎暮らしはつらかった』『龍馬語がゆく〜日常をハイに生きる土佐弁』『イヌキー・私とトートバッグ犬の10年』高知新聞連載『はちきん修行記訪ねて候』など。

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