お酒大好き文化の地、高知県に酒類製造免許を持つ会社は約40社で香美市には3社があります。これから日本酒の新酒造りの季節となる今日このごろ。

まずは、3社の中で最も古い「松尾酒造」をご紹介させていただきたいと思います。

松尾酒造ラベル

今年で創業145年、香美市土佐山田町の西部にある松尾酒造は、明治6年現在の地(当時は山田野地村)で松尾庄吉が酒造を始めました。
そのきっかけとなったのが、長男の嫁取り。

明治の初めより米屋を営んでいた庄吉。長男徳太郎の嫁をもらいうけることになったのですが先方の家から「井戸のない家では娘が難儀をするので嫁にはやれぬ」と言われてしまい、早速家敷内に井戸を掘り、無事嫁に迎えることができそうな。

米屋なので米はある、井戸で水もある、となると酒ができる、ということで、この井戸が酒造の端緒になり、百数十年を経た今日でも当時のままで、醸造用水の一部としてこの井戸の水が使用されています。

当初はこの井戸にちなみ「松の井」を酒銘とし、明治25年には板垣自由党の機関紙土陽新聞にちなみ「土陽正宗」と命名。明治の末年には「翁味醂」の名で味醂醸造にも本格的に進出。
大正に入るや摂津酒精の四国総代理店となり新式焼酎も加え県内酒造家等に販路を拡げる等、時代に合わせて積極経営を行ってきましたが、時代は戦争真っ只中。
日章海軍航空隊の御用達となったり、海軍の燃料アルコールの指定工場になったりで栄枯盛衰の日々。

終戦までは当時の社長は酒造組合長他、公職を歴任していたようですが、戦後は一切の公職を退き、酒銘に現在の「松翁」を追加。
これは往時の「翁味醂」と姓の松尾を組み合せ、醸造の祖神松尾神社の守護の下、長寿延命の酒として命名したもので、当初は姓の松尾と同音の「まつを」でしたが、現在は「まつおきな」と呼んでいます。

創業から戦前まではやや甘口が主流だったそうですが、松翁は淡麗辛口を指向し、一貫して酒質向上に努力しています。

松尾酒造商品

6代目松尾昭仁郎氏は、日本醸造協会機関誌に次のように寄稿しています。

清酒製造業の整備合理化は、清酒製造業が国民経済と地域経済の中で果たすべき役割や、国民の保健・文化的側面からみてもいたずらに生産の効率性原理にもとづく競争と淘汰にさらされるべきではないと考える。今後も全国の清酒製造業に携わる方々とともに、共存共栄・相々扶助の合意の下に、自助自立に努力しながら民族の伝統うけつぐ酒としての日本酒造りと地域産業としての存在を確固たるものにするべく努力してゆきたいと考えている。

現在でもこの理念は一貫して受け継がれており、現社長の7代目松尾禎之氏は次のように話してくれました。

商品より、まずは企業風土を大切にしている。
地域の酒蔵としてどうあるべきか、企業のあり方、本質的な商いそのものが最も重要であると考える。
その上で、技術力を追求し、新商品も開発する。

松尾酒造社長

最近話題の新商品といえば、「クラッシュ」。

名前の由来は、「蔵酒」&「にごり酒は、うまくて飲みすぎて壊れる⇒Crash」&「クラッシュアイス」だそうです。松尾酒造のにごり酒「蔵酒」を三ツ矢サイダーで割ったもので、すごく飲みやすいカクテルです。(^^)

このクラッシュのみならず、松尾酒造の飲み放題イベントが9/21に予定されています。
クラッシュしたい方も、ゆっくり味わいたい方も、酒蔵のタンクの隣で出来たての一杯、いかがでしょうか。

新酒祭り「日本一早い!新米新酒を飲む会!!

場所:松尾酒造酒蔵

日時:9/21(金) 18:30〜

会費:3,000円(飲み放題)

チケットは松尾酒造または香美市商工会まで

NPOいなかみ

コメントを残す

必須 ※お名前は公開されます。

<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>