自然豊かな香美市には、宿泊施設があるキャンプ場が2つあります。テントサイトのある「甫喜ヶ峰森林公園キャンプ場」(土佐山田町)と、バンガローを備えた「日ノ御子河川公園キャンプ場」(香北町)です。

日ノ御子河川公園(2022年4月)
日ノ御子河川公園(2022年4月)

川遊びスポットでもある「日ノ御子河川公園キャンプ場(以下、日ノ御子キャンプ場)」は、2022年4月から、香美市香北町でフォトスタジオ&カフェを営業する『株式会社 ラフディップ』が指定管理者となり運営が始まりました。

香北町のおしゃれスポットでもあり、日頃から季節を味わえるかき氷を提供しているラフディップさん。この数年間休眠状態だったキャンプ場が「どんな風に復活するのか」と期待していたところ、『日ノ御子キャンプ場再生ボランティアチーム』が立ち上がり活動を始めていると聞きましたので、活動の様子を取材しました!

また、ラフディップ代表の武内忠昭さんに、キャンプ場について考えていらっしゃることをお聞きしました。

 

日ノ御子キャンプ場再生ボランティアチーム

チーム主要メンバーは香美市民10名ほど、大半は香美市消防署の消防士さんで、非番の日にキャンプ場周辺の草刈りなど環境整備を始められました。以前からボルダリングの場所として、日ノ御子川に親しまれている方も多いそうです。
またチームメンバー以外の地域住民も、「日ノ御子が好きだから」「地元を盛り上げることにつながれば」との思いで、再生活動に参加されていらっしゃるとのことでした。

中学生ボランティアはは、午前・午後・一日中とそれぞれ自分のペースで参加した(管理棟前にて)
中学生ボランティアは、午前・午後・一日中とそれぞれ自分のペースで参加した(管理棟前にて)

4月17日(日)には、地元の香北中学校の生徒のうち、十数名がボランティア活動に参加。学校からの呼びかけではなくSNSも含めた口コミで、生徒たちが自主的に集まったそうです。参加の動機を尋ねたところ、「夏になるといつも泳いで遊んでいる川が、キレイだとうれしいから」「ゴミがないほうが気持ちいいから」と素直な気持ちを話してくれました。友達と連れ立って河川周辺のゴミ拾いをし、手入れされていなかった丸太椅子や柵に塗料を塗り直したり、刈ったヨシ(葦)を集めたりと大活躍!中学生の言動を心強く感じた一日でした。

河川周辺のゴミ拾い
河川周辺のゴミ拾い

 

気持ちよく使えるように丸太椅子を磨く
気持ちよく使えるように丸太椅子を磨く

清掃活動の締めの挨拶では、ラフディップのスタッフさんが「ゴミのポイ捨てがない、川の環境が保たれる仕組みをつくっていきたい」と話されていて、生徒たちは、活動を通じ「身近な環境を守ること、環境を作り出すこと」を考える機会になったのでは、と思いました。

 

ラフディップ武内さんにお聞きしました!

経営者としての決断

昨今のキャンプブームもあり他市町村でもそれぞれ新しい取り組みが見られる中、日ノ御子キャンプ場はうまく活用されていないことを、武内さんご自身も耳にされていました。香北町在住の友人たちとの話す中で、日ノ御子を盛り上げるアイデアはいくつも浮かんでいたそうです。ただ、一事業所の代表であり従業員を守っていく立場としては、キャンプ場の再生は軽々しく引き受けられることではないと、よくよく検討を重ねられたとのこと。

ラフディップ代表 武内忠明さん キャンプ場のビジョンや地域に対する思いを、丁寧にご説明いただきました
ーラフディップ代表 武内忠昭さんー
キャンプ場のビジョンや地元に対する考えを、時に熱い思いをにじませながら、丁寧にご説明くださいました

「地元の人にとっては当たり前ではあるけれど、ここは、自然の川と木々の緑に包まれた落ち着いた環境であるし、他所から来る人の視点で見直してもとても魅力的な場所。川のサイズ感も、大きすぎず小さすぎずのところで、流れという意味でも危険は少ない。地元では普段から公園に散歩に来たりする人がいる親しみやすい場所でもあるのだから、ここをうまく活用できれば、運営していけるのではないか。
今まで  “人に来てもらって楽しんでもらって、ここの魅力を伝える、魅力が伝わっていく”  ということが、うまくできていなかったことは明らかだし、それをやっていけば、日ノ御子がもつポテンシャルは、地元の人が思う以上にあるのではないか。」と思うようになったそうだ。

 

ただ、実際に現地へ足を運び、施設が壊れたまま放置されている現状を見て、「直さないといけないところや手を入れないといけないところを多く抱えてのスタート。ゼロからではないマイナスからのスタート。」であることを実感。

それでも、武内さんは長年サービス業をやってこられた視点から「本来は、壊れたらではなくて、壊れる前にいいものにして新しいお客さんを呼び込もうという発想が必要。壊れているのであれば、前よりもっといいアイデアで、お客さんが来るように作っていく。」「基本は、今まで来てくれなかったお客さんを呼び、すでに来たことがあるお客さんがまた来たいと思う施設づくりを念頭に置く。」という方針で進めていくことを決断される。

 

石垣の草刈り。広い敷地の整備に、地元ボランティアも積極的に協力。
石垣の草刈り。広い敷地の整備に、地元ボランティアも積極的に協力。

 

日ノ御子河川公園キャンプ場のビジョン

武内さんは、キャンプ場再生のために「短期的な対処を繰り返すのではなく、まず完成ビジョンを持っておいて、そこに至るまでに、何ヶ月何年というプランを立てておく必要がある」と考える。

「桜の季節になったら花見、秋になったら秋の紅葉が楽しめるなど、季節折々の景色の中で、滞在できる場所であればと思う。そのために、景観自体も徐々に整えていきたい。桜の植樹をしている知人によると、樹高3〜4mで見頃の桜になっている木は「植えて11年目」という。つまり、来年苗木を植えたら10年くらいかかる。施設整備だけでなく自然の環境も、みんなが来たくなる環境づくりを地道にやっていきたい。」

「また、今までやってなかったイベントを企画する。例えば写真教室だったり、子どもたちに読み聞かせや屋外で本を読む会を開いたり、野外料理教室。放置状態の場所を整えてマルシェを開くなど、今までやってなかったことをやることで、お客さんに年間を通じて利用していただけると思っている。」と仕組みづくりも計画。

日ノ御子河川公園キャンプ場内
日ノ御子河川公園キャンプ場内

さらに、武内さんは地域との連携や協働が必須と考えている。

「日ノ御子キャンプ場は、市の財産でもあるので、香美市の良さを知ってもらえるような活動も意識していきたい。その方向性として、地域の交通を支える会社や周辺の施設とも連携して展開していけるよう構想している。キャンプ場のよさと、それぞれの施設や地域の特性をかけ合わせたようなプランを作りたい。
キャンプ場へ来てもらうことをきっかけに、宿泊しながら香美市を楽しんでもらえるような、拠点になれれば。」

「BBQで提供する食材についても、基本地元食材を中心に、ここへ来ないと出会えない、ここへ来て初めて食べられるBBQを考えている。そのひとつに、香美市の『松原ミート』のソーセージがあり、季節ごとの美味しいソーセージを取り入れる。他にも、高知県は魚介類も美味しいので、コースの中に取り入れるように検討していきたい。」とのこと。

 

ラフディップとしても、従来からのカフェメニューやかき氷の提供、野外遊びのイベント実施、さらに武内さんご夫妻のウエディングプランナーとしてのご経験など、提供できる材料をたくさんお持ちである。また、「香美市には、『松原ミート』の他にも、土佐山田の『TOSACO』など、香美市へ移住してこられた方々それぞれのできることが、どんどん整いつつある時期かな…」と、新しい流れにも期待を持たれています。

「うまく使えてなかった施設が動き出すことで、色んな人と関わりながら、あたらしい形が実現できるのではないかな。」と、キャンプ場の枠を超えたビジョンをお話くださいました。

ツリーハウス型の滞在棟内部
ツリーハウス型の滞在棟内部

設備は課題を抱えつつも、武内さんが将来を見据えた語りから、日ノ御子キャンプ場の可能性を感じ、まだ見ぬ景色にワクワクしました。

まずは夏頃の本格スタートを目標に、GWにプレオープン。お客様の声もお聞きしながら、キャンプ場を整えていくとのことで、これからの展開が楽しみでなりません!

 

日ノ御子キャンプ場 リンク
https://m.facebook.com/RUFDiP
https://www.instagram.com/hinomiko_camp/

 

(記事作成:NPO法人 いなかみ)

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