ご本尊はもちろん弘法大師空海。
それは平安時代初期の弘仁10年(819)、大師46歳の時。大師は迷いの境界にいるすべての生き物を救って悟りの境界へ導く修行を、四国各地の山中で行っていました。
その道中でこの地に着くと疫病が流行し、人々の悩みは甚だしく、倒れる者が多くいたそうです。
大師はこの苦行を救うべく、経を唱え続けると大日如来が現れ、高さ三丈六尺(約11m)余りの大岩屋にたどり着きます。
そこでは日光菩薩の御光が西南より明るくこの岩屋を照らしていたそうで、その光明にちなんで、この地を明良木(あからぎ)山と呼び、岩屋は夕日の岩屋と呼ばれるようになりました。
そして、大師は真言秘密の法により、この岩屋の中腹より清水を湧出させ、これを人々に施し、疫病を治したと伝えられています。
その後、大師堂が岩屋に接して建てられ、清水はいかなる長雨にも増すことなく、また、干ばつ時にも決して減らず、今日も出ております。
これが実に不思議な水で、ある方のご自宅には30年以上前にここで汲んだものがきれいなまま腐らず残っており、今でも何かの時に利用されているそうです。
常にたくさん溢れ出ているというものではありませんが、このお水はどなたでもいただくことができます。ご希望の方は大師堂の中までお入りください。
旧暦3月と10月の21日には縁日の祭礼があります。
このお祭りは今は落ち着きましたが、昭和の時代まではとても賑やかでした。
往時は大師堂にこたつやふとんも用意。人は堂にあふれ、祭礼の後はお堂内で食べて飲んで通夜を行い、帰りには手に手にお水をいただいていたそうです。
以前1ヶ月近くここに滞在された信心な方もいて、女性だったので地元の人が一人にしないようにと交替で接待したこともあったようですが、近年は静かなところになりました。
梶ヶ森登山のコースにもなっている河野大師堂へ続く道。
春の登山も兼ねて、お大師様へご挨拶に出かけてみませんか?
国道195号線(コンビニエンスおかばやし)⇒日ノ御子キャンプ場入口⇒登山道入口 12km(車で約30分)
登山道入口⇒河野大師堂 840m(ゆっくり徒歩で上り30分、下り20分)
NPOいなかみ