先月から、いなかみライフで記事を書かせてもらうことになりました。
香美市香北町在住の移住5年目、うずまき舎という本屋をやっている村上です。
いなかみライフでは、ヨソモノの視点から見た香美市や高知県という場所について、また、この場所でなんとかかんとかやっていこうという奮闘の模様をお伝えするコラムを、時々お届けする予定です。
さて、今回のタイトルは「いなかセキュリティ」です。なんのこっちゃ?と思われるでしょうが、これが田舎暮らしにおける、なかなかハイスペックなスペシャルオプションなのです。
都会でのひとり暮らし
その前にまず、私が都会で暮らしていた時の話をします。会社に勤めはじめて2年、実家を出てひとり暮らしをはじめ、2年程たったある時、会社に行っている留守中に泥棒に入られてしまったことがありました。盗られたものといえば、ノートパソコンとCDぐらいでしたが、誰だかわからない人が部屋に入ったということが恐くてしかたありません。そのアパートが1階だったということもあって、翌年、今度はオートロックがついたマンションの8階に引っ越しをしました。
隣は何をする人ぞ
新しいマンションに暮らしはじめてしばらくしたころ、夕方部屋にいると、けたたましい非常ベルが鳴りました。何事かと思って外に出ると、パトカーがやってきました。ところがその時、50室近くあるそのマンションから外に出て来たのは私一人だけだったのです。
道から見上げると、明かりのついている部屋もぽつぽつあるのに、ベランダのサッシをあけて、外を覗いている人すらいませんでした。結局非常ベルは水漏れによる誤報でしたが、この事件に私は驚くよりも、薄気味悪い感じがして、結局、引っ越してからたった一年でそのマンションも出ることにしました。
泥棒に入られたアパートも、次に引っ越したマンションも、住んでいるのは単身者ばかりで、昼間はほとんど人がいませんでしたし、すぐ近くにはコンビニがあったりして、住人以外の人が周辺をうろついていても、誰からも不審がられることはありません。近所付き合いもないので、隣にどんな人が住んでいるのか知らないということも、特にめずらしいことではありませんでした。
昨日は誰かお客があったが?
一方の田舎は人もまばらで、一見さみしいようですが、少なくとも自分の集落の住民とは全員顔見知りです。野外で農作業をしている人も多いので、どこかの家にお客さんが来たり、工事や配達の車が来ていても、ぜんぶ誰かに見られています。普段から通行車両も通行人も少ないせいで、たまに見慣れない車が通ると、何だろう?誰だろう?と誰しもが、つい、じっと見てしまうのです。だからいいことも悪いことも、噂はすぐに広まってしまいます。
私は都会と田舎の両方で暮らしてみて、今は田舎社会の方が落ち着いて過ごせると感じていますが、年齢や生活によって居心地のよい場所は人それぞれです。余計なお世話もちょっと嬉しいのは私がちょっと年をとったせいかもしれませんが、今日も、すれちがう車に手を振ったり、畑にいる人に会釈をしたりしながら、できるだけゆっくり、山を昇り降りしたいと思っています。