先日紹介した「神池の火渡り」。紹介したからには行かねばなるまい!と妙な使命感に燃え行ってまいりました。(モノベモノモノガタリでバタバタしていてまとめがようやく今頃に…)さて「神池の火渡り」とは、正確には、高板山火渡りのことで、香美市物部町神池にある高板山不動明王堂で行われ、安徳天皇をしのぶとともに、無病息災など人々の諸祈願をする昔からあるお祭りのことなんです。

おさらいとして過去情報もどうぞ【いなかみブログ】

裸足で火の上を歩く「火渡り」の本気度が凄すぎた。 
四つ足の生き物(肉)NG! そんな祭りが10月9日に開催

朝から四つ足生き物は食べないように注意して1日を過ごしました。ではその日の様子をどうぞ〜

ちょっと早めに行って集落散策

香美市土佐山田町にある香美市立移住定住交流センターを出発すること約1時間。火渡りのある物部町神池に到着。この地区はユニークなかかしがあちらこちらで出迎えてくれます。しかも、おじいちゃんおばあちゃんが畑作業をしているような佇まいで。DSC_0002

「すみませ〜ん」と声をかけてももちろん無反応。とってもリアルで時々間違えます。かかしは秋口に合わせて衣装チェンジもしているようです。

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たまたま見つけた地元の人に、火渡りの会場となる「高板山不動堂」の登り口を尋ねると、そこに行くからと案内してくれることに。DSC_0007

登り口を進むと、しばらく先に鳥居。まだ全体の1/5を歩いた程度なのですが急勾配でキツい。ちゃんとした運動靴を履いてきてよかったと思う程。そういえば、一緒に行った女性もヒールから運動靴に履き替えていました。その選択大正解です。

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しばらく歩くと右側にようやく建物らしきものが…

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神池のお母さんたちが素敵な笑顔で出迎えてくれ、お茶とけんかもちを出してくれました。

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さつまいもと里芋を使った物部の伝統スイーツ「けんかもち」。これがまた甘塩っぱくて美味しいんです! ごちそうさまでした。

待ち時間におじいちゃんと思い出話

一緒に登り口から歩いたおじいちゃんとは、その後も話が盛り上がり、火渡りが始まる直前まで話していました。なんでも神池は、おじいさんが若かりし頃デートスポットで、休みの日ともなると、女池の周りにパラソルを持った女性が座り、お目当ての女性のパラソル柄を見つけては男性が声をかけるとか。そんな話を教えてもらえるとなんともキュンキュンしますねぇ。

いよいよお祭りの始まり

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境内中央には、ヒノキを積み重ねた高さ三メートルの祭壇「柴灯護摩(さいとうごま)」

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陽も落ち、いよいよ儀式の始まりです。修験者たちが次々に祈祷場所に集まります。よく見れば、先ほど焚き火の準備をしてくれた方が太夫さんとして先頭に! 普通に会話していた方が太夫さんだったと知り、驚きました。後ろには白装束の方々が列を連ね、四隅ごとに呪文を唱えていきます。もう見るもの全てが神聖で神秘的。

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ソエゴマに書き添えた「身体健全・心願成就」。
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焚かれるのを待つソエゴマとムクムクと上がる白い煙。

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ゴォォォと炎は勢い良く燃え上がり、煙は高らかに上へ上へと登って行きます。参拝者の話によると、時に煙が上へと登らずに境内中を這うような動きを見せる事もあると。そうなると、その年の豊穣は見込めないとかなんとか… うーむ、奥深い。今年はちゃんと空へ登って行ったので、豊穣のようです。

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火渡りのために場を整える修験者たち

全てのヒノキが燃え尽きた後、太夫さんの中でも決められた人のみが、火渡りの場を整えていきます。

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4人の太夫さんが手で印を結び、池と呼ばれる四隅の石を踏む。その池を修験者は歩く。

いよいよ火渡り。まずは、修験者が歩きます。まだ赤々と灰が燃えている中をスタスタと歩いていきます。その様子を見るだけで怯みます… 3周渡り終えると次は、一般参加者の番。気付けば、今か今かと順番待ちをする人で長蛇の列! 大人も子どももおじいちゃんもおばあちゃんも並んでいます。

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いよいよ私の番! …なのですが、この写真だけ見ると、なんだかヒョイヒョイ歩いているよう。でも、そんなことはないんです。素足で歩くのでアツいものはアツい! でも我慢できない熱さではないのです。ただ不思議なことになぜか1周目より2周目の方が熱さを感じながら歩きました。

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3周歩くともなると足の裏もススだらけ(足裏まで見えるように拡大)。足のシワの隅々まで灰が入り込んで、水洗いしたくらいではススが取れず、参拝者の足はみなこんな状態。でも、その顔を見るとみんな笑顔なんです。始まる前は、ハラハラドキドキし、始まれば、アツいやんとややしかめ顏となり、周を追うごとにちょっと表情も和らぎ、渡りきった安心感や達成感があるから終われば皆、笑顔。

1日経っても足裏ぽかぽか。

火渡りを終えた帰り道からずっと感じていたのですが、足の裏だけがずーっとぽかぽかしているのです。触ってみて熱を持ているというのではなく、内側から暖かい。しかも、20時間以上たった翌日の夕方でもその感覚は今も少し残っていました。これ、ほんと神秘的なので経験してほしいです。万年冷え性の私からすると、足裏だけ温いなんて不思議な感覚です。(レッグウォーマーはしているんですけど靴下いらずみたいな)

次回は来年の4月9日(土)!

火の上を歩き、煩悩を焼きながら、五穀豊穣を祈願したり、個人的には厄祓いや、無病息災を祈願する火渡り。お堂に入って行う数珠回しを終えて修行は終了するのですが、時間の都合でできず心残りでしたがいい経験をさせてもらえました。さて次回はなんと土曜日の開催! 2016年の最初の火渡りは4月9日(土)です。いい機会なので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか? もちろんその日は四つ足生き物のお肉を食べるのは厳禁ですので、ご注意を!

神池地区

標高400メートル程の山間部にある集落で、民間信仰のいざなぎ流や、大蛇伝説、平­家の落人伝説などが残る神秘的な地域。人口減少が進む集落ではあるが、地域活性化の一環として「かかしづくり」に取り組んでおり、集落のあちこちで人間と見間違うようなかかしが設置され、一見すると人口が増えているように見える面白い地域。住民も温かい人が多く、外部の人も快く迎え入れてくれる。

【関連リンク】
神池地区に関する記事。
http://inakami.net/tag/kamiike


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