★香美市にゆかりのある素敵な方のご紹介です!

遠山 忍 さん 地域支援企画員(香美市物部・香北地区担当)

遠山さん1

“誠実”という言葉は、まさにこの方のためにあると言っても過言ではないでしょう(対いなかみ比)。高知県の地域支援企画員、香美市担当の遠山さん。温和なお人柄と誠実な対応、きめ細かなお仕事ぶりに、地域活動に関わる方々が大きな信頼を寄せる行政マンのお一人です。今回、忙しなく地域を奔走している合間をぬって、いなかみライフのインタビューに応じていただきました。

(注:平成26年4月から 林業振興・環境部 森づくり推進課  へ移動されました)

あらゆる地域活動をサポート

いなかみ
今日はよろしくお願いします!地域支援企画員の方にはこれまでも何人かお会いしたことがありますが、本当に多種多様な地域支援に関わってらっしゃいますよね。まずは、遠山さんのお仕事の概要をお聞かせいただけますか?

遠山さん
私たち地域支援企画員は県の地域づくり支援課(26年度からは計画推進課)に所属しておりまして、この制度は平成15年からスタートしました。県内に総勢53名が配置されていて、香美市は私を含め三名で担当しています。市町村と連携しながら、実際に地域に入り、住民のみなさんと同じ目線で考え、共に活動することを基本に、地域の活性化に向けたお手伝いをしています。

いなかみ
具体的にはどのようなことをされているのですか?

遠山さん
集落維持のための取り組み、高齢者の見守りなど、地域の支え合いの仕組みづくりをお手伝いしています。それから、地域資源を活かした特産品開発、住民グループのイベント活動といった地域の活力向上のお手伝いですね。あと、県の産業振興計画の推進や、移住定住対策の推進なども業務の範囲になります。

いなかみ
おぉ~、やっぱり非常に幅広くご活躍されてますね。そういえば、遠山さんのご出身はどちらなんですか?

遠山さん
出身は高知県 旧中村市、今の四万十市です。街の方ではなくて、かなり山深い田舎の方で育ちました。

いなかみ
なるほど、それで県庁に就職されてから地域づくり支援課に・・・

遠山さん
いえ、実は最初は林業の技術職員として入庁したんです。地域づくり支援課は平成22年からで、もうすぐ丸4年になります。

いなかみ
えっ、それは意外! すごく柔和で人当たりのいい方なので、ずっと人と接するようなお仕事をされてきたんじゃないだろうかって、勝手に思っていました。活動範囲も多岐に渡っていますし、ひっきりなしに地域の方からお声がかかるんじゃないですか?

遠山さん
実は、私が赴任する前は香北駐在の支援員がいない時期が続いておりまして、赴任当初しばらくは声がかからない状態が続いたんです。支援員制度がまだまだ地域に浸透していないことを痛感しました。徐々に人から人へつながりができていって、段々と声をかけていただける機会が増えてきたのは嬉しかったですね。

いなかみ
そうなんですね~。いろいろな相談事に対応していくのは大変でしょう?

遠山さん
確かに、上手く実現に向かって動ける相談事もあれば、いますぐには難しいような話もあります。でも、想いを実現するための初めの一歩を踏み出すところのお手伝いをさせていただくのが、私の役割です。

また、自分がすぐに対応できる知識を持っている場合とそうでない場合があるのですが、持っていないことの方が多いですね。とりあえず一旦は持ち帰って、自分で調べたり、市や県の担当各課に相談したりして対応するようにしています。ネットで調べられるようになったのは助かりますね。地域の年配の方の中には、ネットを使えないので調べ方がわからないという方もいらっしゃいますから。

遠山さん2
物部町神池地域の方とお話し中の遠山さん

人と人とのつながりで地域を盛り上げる

いなかみ
遠山さんが、普段の仕事において意識していることを聞かせていただけますか?

遠山さん
そうですね、最近はよく、なるべくお金をかけないで、人と人とのつながりで地域を盛り上げていけないだろうかと考えています。工科大学の『ココイコ!プロジェクト』や『香美市を盛り上げ隊』に参加している大学生と地域がつながるお手伝いをさせていただいているのですが、実際に地域の方々が元気になっていくのを目の当たりにして、そういう想いが強くなりました。

【関連リンク】
■集落と大学生。共同作業で生まれる親子のような関係(神池地区)
http://inakami.net/life/kokoikokamiike-1250.html

■香美市の魅力を発信する、香美市を盛り上げ隊!(高知工科大)
http://inakami.net/enjoy/moriagetai-2154.html

これまでの地域と大学との関係は、大学の先生の研究対象が地域で、研究のために地域に入っていくというパターンが主流だったと思うのですが、工科大の事務局の方や地域連携機構の方と関わる中で、地域に興味を持っている学生が非常に多いことに気付きました。そういう想いを持っている学生がいるんだったら、自分たちが間に入って彼らと地域を結びつけることができるんじゃないかと思ったのが、つながるお手伝いをするようになったきっかけですね。

いなかみ
2000年代後半からでしょうか、地域に目を向ける若い子たちが増えて来ていますよね。

遠山さん
自分が20歳やそこらの頃を考えると、地域貢献したいっていうような想いは考えられなかったですね。地域との関わりを持ちたい学生が多いことに、正直驚いています。一番遊びたい盛りなのに(笑)四万十の田舎を飛び出して街で就職した自分ですが、そんな自分が今このような仕事をやっていることが、なんだか不思議です。私も、稲刈りの時期や正月、お盆に帰省すると、田舎のことを考えるようになってきましたね。

いなかみ
わかります! 私も大学生の頃は遊んでばかりでしたので・・・(苦笑) 気を取り直して、遠山さんが仕事をされていて嬉しかったことを聞かせてください。

遠山さん
『土佐塩の道保存会』などには長く関わらせていただいているのですが、地域支援企画員のことをすごく信頼してくださっている、頼りにしてくださっている感じが伝わって来て、そういうことはすごく嬉しいですね。まだまだ、信頼してくださっている方々にお返しできている部分が少ないのが心苦しいのですが・・・。

いなかみ
遠山さんがされているのは、まさに現場というところのお仕事ですよね。

遠山さん
そうですね。県庁で仕事をしていた頃は、間に市町村が入っていることも多いので、直接住民の方と接する機会はあまりありませんでした。今の仕事は、自分の前には誰もいない、自分が直接相手と対話するという立場です。職場は市役所の香北支所の中にありますので、地域の方が市役所に用事で来たついでに立ち寄ってくれたりすることもよくあります。そうやって来ていただけるのは、とてもありがたいことですね。

いなかみ
では、「こんなことに苦労した」ということはありますか?

遠山さん
地域で活動されている方々みなさんを平等に応援できればいいのですが、身体はひとつなので、どうしても取り組みの濃淡ができてしまう部分は否めません。そこのところに対する地域の方の不満をどう解消していくかというところが、苦労した点でしょうか。

それから、私の中に「こういうふうにしたらいいのでは?」という想いがあっても、それが地域の方々のやりたいことと一致しないこともあります。自分たちはあくまで応援する立場で、実際に想いを形にすべく行動するのは地域の方ですから、自分の想いをどのタイミングで伝えるべきか、雰囲気を読み取りながら、探り探りやっています。どこまで入るかというバランス感覚が難しいですね。

遠山さん3
遠山さんのデスクは、香美市役所香北支所内にあります。

地域活動の継承を支援したい

いなかみ
これから取り組みたいと思われていることや課題などについて、お聞かせいただけますか?

遠山さん
そうですね、先ほども申し上げた『土佐塩の道保存会』は、地元の方が地域おこしとして始めて、これまでもかなりの成果を上げて来ている取り組みなのですが、やはりメンバーの高齢化は顕著で、将来的にどう継承していくかという課題があります。

難しい問題ではありますが、移住者の方や大学生、地域外の方などいろいろな方々に地域の活動を知ってもらう中で、共感してもらえる方や協力してもらえる方を増やしていくという取り組みを、自分たちがお手伝いできたらと思っています。

いなかみ
地域の特産品を作っているグループなどについても同じことが言えますよね。

遠山さん
はい。「今はまだできる。けれど、いずれは後継者が必要になってくる」という現実に向き合って、対策を練っていかないといけません。せっかくこれまで育て上げてきた素晴らしい取り組みが途絶えてしまうというような、悲しいことにはならないようにしたいです。

いなかみ
同感です。移住に関してはどのようなお考えをお持ちですか?

遠山さん
移住の受け入れ側は、田舎暮らしのメリットを前面に出していきがちですが、しっかりと事実を伝えることが大切だと思います。私も田舎と都市部両方のメリットとデメリットを経験していますので、それをきちんと伝えていきたいですね。ミスマッチがあっては、移住者の方も地域の方も幸せになれないですから。

いなかみ
事実をお伝えして、その上で田舎を選択していただく。大事なことですよね。それでは最後に、遠山さんが考える香美市の魅力を教えてください。

遠山さん
他の中山間地域を抱えた市町村に比べると、交通の面で恵まれていると感じます。物部の奥の方まで広い道路がありますし、JRの駅からも、空港からの距離も比較的近く、アクセスがいい。それと、やはり人でしょうか。なんとか地域を盛り上げようと精力的に活動している方がたくさんいらっしゃいます。香美市に惚れ込んだ移住者の方が中心になって、地域の活性化に取り組んでいる事例もあるんですよ。

いなかみ
そんな方が一人でも多く香美市に来てくだされば、地域の担い手問題も解決につながっていく希望が持てますね。遠山さんのように地域を一生懸命支援してくださっている方のことを、私たちも『いなかみライフ』などを通じて、もっと広く周知していきたいと思います。本日はありがとうございました!

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