中学校の授業でイスラム国人質事件の遺体画像を見せたという話が話題になり、教育のあり方が議論されています。

【外部リンク】
<「イスラム国」人質>遺体画像授業で見せる 栃木の中学校
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150210-00000027-mai-soci

 

この話題を通してふと感じたこと。それは田舎に住む私たちは「田舎の教育」に何を求めているのかという点。私の感覚では、自然体験学習などによって感性を磨いたり、自分で考えたりするような能力の向上を求めていると感じています。

自然体験教育で見られた子供達の輝き

例えば田舎の小学校の体験学習では、調査していた昆虫が別の昆虫に食べられたり、山でススメバチの巣を見つけたり、そのスズメバチが天敵のオオスズメバチに全滅させられることを学んだりと、自然の中にある「死」や「繋がり」を感じながら、多くのことを学びます。

香美市の自然体験教育

こうした体験は子供達に様々な疑問を与え、それを考えたり、協力して解決したりすることで、感性やコミュニケーション力が磨かれます。そして、教科書の授業(この内容なら理科)では、弱肉強食・自然共生等の話が「点」でしかなかったものが、体験を通して「線」で結びつき、部分ではなく全体を捉える力も身につくようになっていきます。

実際に体験学習を見学させてもらうと、大人が驚くほど自分の考えたこと、感じたことを率先して発表し、友達の発言にも自分の意見を伝えるような姿が見られます。

この姿を見た大人は

なんと感性豊かな子供達だ!コミュニケーション力も高い。田舎の教育はすごい!

と褒め称えます。

指導する先生もこうした評価に対して子供達を誇らしく思います。ただ、それと同時にこんな話も付け足してくれました。

「この子たちは凄いけどなぜか学力は上がらない」

もちろん全ての子供がそうだと言うわけではありませんし、学力という指標で測る評価が全てとも思いません。それでもこうした課題が田舎の教育に存在するのも事実です。

香美市の学力調査の結果を見ると、小学生の学力はほぼ全国平均並で、一部平均より高い数字(算数A数学A)もあります。しかしこれが中学生になると、どの項目も平均を下回る結果となってしまっています。

香美市の学力

田舎の教育にも学力は必要?

田舎で多く行われている自然体験学習は、感性やコミュニケーション力を育てることは間違い無いと私は思っています。そして大人社会もまた、こうした能力を求める傾向が強くなっています。しかし、そこに至るまでの中学・高校・大学で評価されるのは、そうした能力よりもその基盤となる学力です。

この基礎学力が低いままでは、受験で取り残されたり、ライバルと競い合うような環境も少なくなる可能性は高くなります。ひょっとするとそうした状況に自信を失ってしまうこともあるかもしれません。

田舎の教育に求めたい「感性やコミュニケーション力」は、大人になったときに必ず活かせる能力です。しかしそこに至るまでに基礎学力を身につけていなければ、その力を大人になった際に活かせない可能性もあるのでは、というのが私の感想です。

田舎暮らしに注目が集まる昨今。あなたは田舎の教育に何を求めますか?

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