平成26年1月7日、香美市立中央公民館で香美市に移住して靴創りを行っている base works勝見友彦さんの講演会が開催されました。勝美さんとは、昨年末に土佐山田商店街の「ふらっと中町」で開催された年忘れパーティーでお目にかかり、この講演会はぜひ聴きに行きたい!と、楽しみにしていたものでした。

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余計なものに触れないそのままの暮らし

上記の年忘れパーティーで「これが楽しくて移住した(笑)」と言っていたのは、何を隠そう勝美さんその人でした。今回の講演会でも、香美市に移住したきっかけの1つは「年忘れパーティー」への参加だと話てくれました。おじさんおばさんが楽しく踊り狂っている姿、みんなに心を開いているその姿が、東京で暮らす勝美さんにとっては、本当に衝撃的だったそうです。

そんな勝美さんから見た香美市の魅力は、空港に到着してから一度も「街」に入らず、そのまま自然の中に行けること。香美市には大きな商業施設はないけれど、そうした余計なものに触れないそのままの暮らしが、自分達には何より魅力的だと教えてくれました。

勝見さん講演会
講演中の勝見さん(主催:香美市商工会)

足りないモノを補うために手を動かす

そんな勝美さんの仕事は、靴づくりを教える学校の校長先生。今も週末は東京で仕事をされており、学校には200人以上の生徒が来るとのこと。なぜこんなに人が集まるのかと最初は疑問だったそうですが、街で暮らす人は「手を動かして何かをつくることを欲している」と感じるようになったそうです。

そこには、都会のモノに溢れた暮らしにウンザリする人が増えてきた、という背景があるようでした。そして、都会の便利さの代償なのか、自分で考えるという力も弱くなり、予想できないことが起こったときのアドリブがきかない人も増えてきているとの話でした。

それに対して靴づくりはアドリブの連続。近年、こうしたモノづくりや山歩きなどをする人が増えているのは、そんな「目に見えない足りないモノ」を補うためにやっているのではないかと分析されていました。

人もモノも循環する社会へ

このように、足りないモノを欲している人にとっては、つくる場所もまた、モノに溢れた街ではなく、自然があり、余計なものが無い田舎の方が良いのではないか。そんな想いから香美市に移住した勝美さん。これからは自分達のように、好きな場所でやりたいことをやれるような、人もモノも循環するような社会をつくっていきたいと話してくれました。

靴づくりのようなモノづくりを行えば、その仕組みがわかるようになるため、壊れても自分で直すことができる。そうすればモノを長く使えるようになる。既製品の多くは使い捨てるしかないが、自分でつくったものは壊れても直せる。そういうモノが選ばれ、資源が循環するような社会にしていきたい。同じように人もまた、行きたい場所に行ってやりたいことをやれるような循環が生まれてほしい。

今は東京のような小さな場所に集まる社会構造だけど、もっと自由に、どこにいても心地よい暮らしができるような社会にしたい。そんな想いがありました。

人が少ない地域こそ必要な「光ケーブル」

余計なモノが無いことが魅力だとおっしゃっていた勝見さんでしたが、1つだけ”あってほしいもの”を教えてくれました。それが「光ケーブル」です。東京ではテレビを見る人がずいぶん減り、その分、ネットで情報を得て、ネットで情報を発信するようになりました。これからのモノづくりは自然の中で行なうようになると予測する勝美さん。だからこそ「光ケーブル」が必須になるという話でした。

田舎では「人が居ないから光ケーブルは引けない」と言われます。しかし勝見さんから見れば「人が居ないからこそ光ケーブルが必要」ということでした。そうしないと人を増やすことは難しくなる。極論として、道路が整備されていなくても、ネット環境さえ整備されていれば何とでもなる。それくらいネットは重要なインフラになっているという現実でした。

田舎の自然な姿が都会の人には魅力に映る

今回の講演から得たものは、「余計なモノが無いありのままの暮らしがいい」と言う勝見さんの言葉通り、受け入れる地元は、飾ったおもてなしよりも、そのままの姿を見せていくことが大切だということでした。そして、目に見えるモノを売ることに執着するよりも、モノづくりそのものを体験してもらうような、目に見えないモノを提案することの大切さでした。

「何もないのがいい」「自分でつくるのがいい」そんな都会の人に増えている新しい価値観を学んだいなかみライフでした。

 

※本文章は勝美さんの講演を元に、いなかみライフの解釈で作成したものです。

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