高知県香美市(かみし)に移住した方、特に「香北町(かほくちょう)エリア」に移住した方からよく聞くこの言葉
「人と人の距離感がちょうどいい」
これ、1人の方が言っているのではなく、複数の移住者さんから聞く言葉なのです。実際に聞いた話と私の印象も合わせて「距離感がちょうどいい」の理由を考察してみたいと思います。
田舎における丁度良い距離感とは
人の距離感は人それぞれですので、それをまとめるのは難しいものですが、田舎における丁度良い距離感は「近すぎず遠すぎず」であると仮定しました。それを踏まえて一般的な近すぎる距離感と遠すぎる距離感、それに対する香北町の距離感をそれぞれ書き出してみると次のようになります。
(近すぎる例)
・ご近所さんが勝手に家に入ってくる
・地域行事がたくさんあり参加しないと咎められる
(遠すぎる例)
・ご近所さんが誰かわからず挨拶もしない
・地域行事も誘われないため参加しない
(香北町の例)
・ご近所さんと顔見知りになり、会えば挨拶や日常会話をするがそれ以上の関わりはあまりない
・地域行事は複数あるが、最初は協力が必要なものだけ参加する(年に数回)
・こちらが頼れば、必要以上にお世話してくれる(畑の相談をしたら耕運機持ってきて耕してくれた、など)
もちろん香北町も複数の集落があり、人それぞれ個性も違うため、全てがこのような距離感ではないと思いますが、全体的にこんな「ちょうどよい距離感」をもつ人が多いなと感じています。まとめるとこんな感じ。
(香北町の人達)
・移住者のことが気になって注目しているが深入りはしない
・地域行事にも参加してほしいが無理強いはしたくない
・頼ってくれたら応援してあげたくなる
香北町の人達が持つ距離感の背景
では、なぜ香北町の人達は「ちょうどいい距離感」を持っているのでしょうか?想像するに以下のような歴史や環境が関係しているのではと感じています。
① 歴史的に人を受け入れる土壌があった
→もう少し山側のエリアとなる物部町から、高齢等を理由に香北町に降りてきて暮らす人(町外から来る人)が多かった
② 昔から移住者が地域に溶け込んでいた
→30年ほど前から、移住した人が地域に溶け込み新たな移住者を呼ぶ流れがあった。また、近年では高知県と香美市の移住施策によってコンスタントに移住者が来る状況が生まれた
③ 物理的な距離がちょうどよかった
→香北町は人口4,000人ほどの町で、住宅地エリアでもアパートはほとんど無く、各家もそれほど密集していないため、隣の家までの距離も近すぎず遠すぎずのちょうどいい距離だった
以上のような考察から、香美市香北町は「人と人の距離感がちょうどいい」と言われるのだと感じました。でも当然のことながら、その距離感は“お互い様”の精神があって成り立つものであり、自分のことだけを考えた自分勝手な暮らしをしていては生まれない、ということは忘れないようにしないといけません。
最後に、高知県香美市は、人の距離感だけでなく「暮らしの距離感・バランスもちょうどいい!」というのも、移住者さんからよく聞きます。こちらはまた別の機会にご紹介させていただければと思います!
NPO法人いなかみ