「子どもたちの意見を出してもらう委員会が今度あるんですよ。」→どうやってまとめるの?
香美市教育委員会の正木先生の情報から取材が始まりました。よくテレビで見る「子どもたちが意見を出し合って」というフレーズですが、一体どんな子どもたちが集まって、どんなふうに意見をまとめて、どんなふうに企画に反映されているのか考えてみれば知らないことだらけ。取材させて下さい!
というわけで、令和5年7月29日に開催された「よってたかって生涯学習フォーラム子ども企画員会」第一回目の様子をレポートします。
第二回の様子はこちら↓↓
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学びの町香美市の一大イベント「よってたかって生涯学習フォーラム」
このフォーラムは今年で6年目。途中コロナ禍を挟んで4回目の開催になります。
多い年には三千人の参加があったこのフォーラム。久々の開催となる今年は企画段階から子どもたちに参加してもらい、更にワクワクするようなフォーラムにブラッシュアップして沢山の方に参加してもらいたいとの想いから、従来の大人たちの企画員とは別に子ども企画員を募集したんだそうです。
集まった子どもたちは31名、市内の小中学校、特別支援学校から各2〜3名、高校生8名、高専生2名、大学生4名というメンバーです。 小学5年生から大学生までなかなかの年齢差、どんなふうにみんなの意見を形にしてゆくのでしょうか?
年齢の偏りがないように指定された6つのグループ、それぞれの席についてワークショップのスタートです。
ワークショップの進行役は「株式会社わらびの」の畠中智子さん
簡単な挨拶のあと、畠中さんの掛け声で机をワークショップ用に並び替えます。いきなりの共同作業ですが、畠中さんのアットホームな感じの声かけと楽しい空気感が伝わって、みんな自然に声を掛け合いあっという間に指定の形に机を並び替えて、さてさて、ワークショップの始まりです。
先ずはシートの作成から、自分の好きな色での枠造り
手元に配られた紙にインタビュー用の枠を自分の好きな色を使って描いたら、最初のミッション。紙を裏返して向かいの席の人の似顔絵を描きます。時間はたったの30秒。「手元は見ないで相手の顔をよく見て描いてよー。」
初対面の相手と見つめ合って最初はちょっと緊張、だけど短い時間でだんだん打ち解けて、あっという間に時間終了。その上に相手のニックネームを聞いて記入します。ニックネームが大量にある人も。「かわいい!」「いいなー。」「なんでその名前なが?」
お互いに笑顔が出てきたところで、紙を裏返して向かいの席の人にインタビュー。枠の中に相手の話したことを記入します。枠の中の項目は「私の得意技」、「生涯学習のイメージ」、「こんなことしたいな」
「具体的でなくても構いません。」「聞く人は相手が話しやすいように相槌を打ってあげてよ。」「時間は二人で6分間。先ずはさらーっと3項目聞いちょいて、その後だんだんと深めていってよー。」とみんなが話しやすいように、困らないように畠中さんから声がかかります。
発表はペアの相手の紹介を兼ねて
インタビューが終わって、発表タイム。内容を班で共有するためにペアの相手の言ったことを描いたシートを読み上げます。
読み上げるときにさっきの似顔絵も班のみんなにご披露されるという仕掛けでした。可愛くかけたの、個性的なの、ほんとに手元見ないで描きましたねというもの、様々。
「読み上げが早く終わったら静かにする必要はないです。ワチャワチャしよってよ。終わってないグループが緊張するきね。」と声がかかります。なんだか自由であったかな空気が心地よい。
発表が終わったグループからおしゃべりタイムが始まります。すっかり打ち解けてニックネームで呼び合いながらザワザワ。
次は大きな模造紙を広げて意見の集約
大きな模造紙を広げたら、班のカラーを決めてその色で枠をつくります。畠中さんからすかさずアドバイス。「隣のグループからペンを借りてみんなで協力すると早いです。」
項目は「こんなことやりたい」「こんな人に来て欲しい」「規模(会場の大きさ、人数)」「その他」。素材はすでにできています。さっきのインタビューの紙を見ながら付箋に書き写して貼り付けていきます。貼りながらどんどん発想が膨らんできます。「来て欲しい人」、子ども、先生、ルフィーの声優さん、市長さん、社長、信長、…信長?!
フォーラムの時期は2月17日。めっちゃ寒い時期ですよなんてヒントももらいながらイメージを膨らませます。
付箋が出揃ったら関連項目をまとめてみます
「大人の実行委員さんに見てもらうのでわかりやすいように整理しちゃってね。」
ここは、年長の大学生、高校生がグループリーダーとして ご指名を受けて仕切ります。みんなの意見を聞きながら関連項目をまとめたり、線を引っ張って関係性を考えたり。
まとめていくと班のみんなの思いが自然と浮かび上がってくるから不思議です。気になるキーワードから、その元にある思いがあぶりだされてくる、手を動かして目で確かめて、他のメンバーと深めあって、みんなで協力していく空気が醸成されて、これぞワークショップの醍醐味です。
最後に全体を見てメンバー納得のテーマを書き込みます。
いよいよ発表
各班、みんなで前に出て発表。初対面のメンバーが集まり、お互いの思いをインタビューするところから始まって発表も含めて約2時間。
出てきたテーマは次の通り。
「香美市の特産品をPR」
「地域の特産品でイベント」
「人生を楽しもう」
「地域を活性化させる」
「色んな人と交流しながら絆を深める」
「香美市を元気に」
それぞれに、どんなことをしたいか、その規模やターゲット、今日話し合った色んな思いが一枚の模造紙に詰め込まれています。
今日のまとめ
「いくつかのキーワードが出てきました。」と畠中さん。
スローガンに結びつくようなキーワードとして、「元気」「絆を深める」「人生を楽しむ」。
特産品に注目している班もありました。
最後に畠中さんからみんなにエール。「このアイデアを大人に渡して”やってもらう”のか、”自分たちでやる”のかどっちがいい?次回は大人に加わってもらってこれに磨きをかけたらすごい素敵な企画になると思います。」
次回までに会場を下見してイメージを膨らませたり、協力してくれる人を見つけたり、わかる範囲で色々調べて来たりという宿題ももらって、今日の「香美市生涯学習フォーラム子ども企画委員会」は終了です。
取材を終えて
かなり濃密な時間、みんなすごい集中力で進めていました。本当にお疲れ様でした。
好きなことをワイワイ発言しながらみんなの意見がまとまっていく体験、安心して発言できる環境、この充実した時間は貴重な経験となったのではないでしょうか。
でもこれって、今の子どもたちには当たり前なのかな?
自分は話し合いといえば多数決の世代。学級会などでも論破合戦が殆どで、ポジティブな環境で意見をまとめていく方法は全く学ばずに大人になりました。
今日のような方法を子どものうちから体験できる社会って、世の中良くなったんだなァなどと、おばちゃん歴も長くなったおばちゃんのベテランとしては羨ましくも、幸せな気持ちになったのでした。
生涯学習フォーラムに関わりたいと集まった31名の子どもたち。持ち寄った思いややりたいことが形を帯びて素敵な企画の卵が6つ生まれた企画委員会でした。
次回↓↓「子ども企画委員会」は8月16日開催です。
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(記事作成 NPO法人いなかみ)