香美市の小学校はどんな教育をしているのか?以前「ふれ愛かたじ」という地域を巻き込んだイベントを開催していた片地小学校にお邪魔し、井手教頭先生に話を聞きました。片地小のポイントは、理科教育と地域の協力なバックアップ体制にありました。

片地小学校井出先生1
片地小学校 井出教頭先生

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高知家よりもずっと前から、片地小は「片地家」だった

いなかみ
以前の「ふれ愛かたじ」に参加させていただきましたけど、あれはいいですね!子ども達だけでなく地域の人もイキイキしていて、自分に子どもが生まれたらこんな学校に通ってほしいと思いましたよ。(※ふれ愛かたじ:学校の文化祭を地域に公開し、一般の人も参加できるようにしたイベント)

井手先生
楽しんでもらえてよかったです。片地小のいいところ、ありがたいところは、学校が何を言っても「よし、やろう!」と協力してくれる地域の人がいることなんですよ。今、高知県が「高知家」キャンペーンをやっていますけど、それよりずっと前から、片地は1つの家族「片地家」でした。近所付き合いも良くて、隣にある高知工科大学の学生も、学校サポーターとして授業の補助などをしにきてくれています。

自分で考えるからチャンバラも公認!

いなかみ
「地域が協力してくれる学校」ってそれだけで魅力的なことですよね。でも、そんな協力が得られるのは、学校の方針や取り組みがあってのこと。片地小学校って簡単に言うとどんな学校ですか?

井手先生
子ども達が自分で考えることを大切にしている学校ですね。あと、規制が少なく割とおおらかな学校です。たとえば雨が降っていたら運動場に旗を立てて立ち入り禁止にする学校は多いですけど、片地小はやりません。もし運動場の真ん中を歩いていたら、先生が怒るでなく「歩いたらどうなるか考えてみて」と投げかけます。禁止するよりやってみて学ぶといった感じです。

だからこの学校、チャンバラも公認なんですよ(笑)もちろんケガしないように!とは言いますが、経験して自分で考える子ども達なので、良い悪いの境界をちゃんとわかっているんです。先の「ふれ愛かたじ」も同様の想いがありまして、イベントを実施するためには話し合ったり計画したり、誰かに力を借りたりしながらやらないといけません。それはちょっと無理じゃないの!?って思われるようなことも、やってみたら実はできる。そういうことを早いうちに子ども達にも経験しておいてほしいんです。

片地小学校井出先生2
職員室にやってきた子ども達に声をかける井手先生

地域の力で成り立つ教育スタイル

いなかみ
考える教育って北欧みたいなスタイルですね。「ふれ愛かたじ」が面白いのも納得です。でもこれってかなり大変じゃないですか?たとえば異動してきた先生にもできるものなんでしょうか?

井手先生
片地家があるからできるんですよ。あとは児童数89名(平成25年度)という小規模校だからできる。例えば理科の実験をやるときでも、人数が少ないから1人1つの道具を用意することができますし、その道具を買う際にも、地域・保護者の協力を得やすいんです。そんな環境があるから、異動してきた先生も自然とこのやり方になじんでいくんです。

いなかみ
なるほど~。地域の力と小規模校ならではの良さが活きているんですね。こうやって話を聞いていると本当に理想的な学校だと感じるんですが、反対に心配なことってあるものですか?

井手先生
小規模校はみんなの顔が見える関係ですが、そんな子ども達が将来、大規模校に入ると萎縮してしまうかもしれません。だから、コミュニケーションがしっかりとれる子供に育ててあげないと、という思いはありますね。そういう意味でも、普段から学校にかかわってくださる方々との交流機会は大切なんです。「ふれ愛かたじ」のような公開イベント、外に出て人と触れ合う校外学習もとても大切です。

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「高知工科大学付属 片地小学校」のような理科教育を目指して

(いなかみ)
地域との繋がりは課題解決の取り組みにもなっていたんですね。それは子ども達の勉強(学問)にも繋がっていたりしますか?

(井手先生)
片地小学校は理科教育に力を入れている学校なんです。そして理科は地域と関わりやすいテーマなんですよ。植物の勉強なら外に出て観察するなど、活動場所を外に求めやすい。理科に強い工科大も近くにありますから、将来的には理科の授業に、日常的に工科大生がかかわってくれたり、大学の先生が教えに来てくれたりするようになったらいいなと思っています。

片地小学校は「香美市立片地小学校」ですけど「高知工科大学付属 片地小学校」みたいな感じですね(笑)もちろんそこには課題もたくさんありますが、理科教育を中心に、地域と関わって多くの人に出会って「将来こんな人になりたい!」と目標をもつ子ども達に育ってもらいたいです。

片地小学校井出先生4

(いなかみ)
子ども達が自分で考えることを大切にして、地域と関わりながら学びを広げていく学校。これが片地小学校なんですね。片地小の明るい雰囲気のヒミツがわかった気がします。井手先生、今日はありがとうございました。

(井手先生)
はい。ありがとうございました。またいつでも遊びにきてください。

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