香美市土佐山田町にある鏡野中学校。その吹奏楽部出身者を中心に結成した「鏡野吹奏楽団」という団体があります。
実はこの団体、歴史と実力がすごいんです。
歴史的には昭和21年(1946)から同中学校OBの吹奏楽団体はあり活躍はしていたのですが、吹奏楽特有の練習場所問題や団員不足で紆余曲折があり、心機一転出直したのは昭和52年(1977)のことでした。
一般的にはあまり知られていませんが吹奏楽の世界には年1回開催される全日本吹奏楽コンクールという大会があり、参加全チームに、レベルに応じて金賞・銀賞・銅賞が贈られます。しかし、金賞を取るのは至難の業。そして、その中で特に優秀なチームは県大会→四国大会→全国大会へと進むことができます。
昭和40年代の鏡野中学校吹奏楽部は四国大会にも行けないこともしばしば。そこに赴任された音楽担当のM先生。“おんがく”は「音我苦」と書くのじゃ、と言いつつ熱血指導。指揮棒が空を飛ぶ日もありました。
さらに吹奏楽部OBの方々にも寸暇を惜しんで指導をいただき、昭和50年(1975)の四国大会で初の金賞を受賞するまでに成長。そのメンバーや指導いただいたOBの方々とともに、昭和52年(1977)新生「鏡野中学OB吹奏楽団」が発足したのでした。
皆さんは「吹奏楽の甲子園」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。当時それは全国吹奏楽コンクール全国大会が開かれていた東京都杉並区にある「普門館」のことで、ここは吹奏楽に携わる者にとって夢のような場所でした。
鏡野中学OB吹奏楽団は結成間もない昭和52年(1977)の第25回大会に職場・一般の部の四国代表として出場を果たします。
それは全員夢のような境地。でも初めて上がった普門館の舞台は黒光りし、5000名収容の客席フロアの入り口は遠すぎてかすんで見え、全員に録音用マイクが伸びている…指揮棒はいつになくゆっくりで…とまぁ、初全国大会はそれなりの結果で。(^^;
あれから40年、なんと全国大会には24回も出場、3年連続出場も2回、名称を今の「鏡野吹奏楽団」と改めた平成元年(1989)の大会では全国大会で金賞も受賞。平成5年(1993)にはシドニー・オペラハウス国際音楽祭に日本代表として出場し、グランプリを獲得など、すごい結果を残してきています。
現在、団長の藤原哲さん(結成当初からメンバー)、常任指揮者の弘田靖明さん(現大栃中学校教頭)を中心に幅広い活動を行っています。団員全員仕事を持ちながらで苦労も多いとは思いますが、これからも活躍してもらいたいと思うのです。
この楽団の、1年に1回の定期演奏会が開かれます。
この機会に、ぜひ香美市を代表する、いや高知県を代表する音色をお聞きください。
〜鏡野吹奏楽団 第41回定期演奏会〜
日時:5月19日(土) 開場 17:15 開演 18:30
場所:高知県民文化ホール(オレンジ)
チケット:一般 1,000円(当日1200円)、学生:500円(当日700円)
前売券取扱場所:
高新プレイガイド・県民文化ホールチケット売り場・高知市文化プラザミュージアムショップ・県立美術館ミュージアムショップ・楽器堂OPUS(本店・イオン店)
※当楽団ホームページからもチケットの取り置きができます。
P.S.
吹奏楽の聖地として長年親しまれた普門館(東京都杉並区)が今年の冬にも解体されることが決定しました。
平成23年(2011)の東日本大震災で他の大型施設で被害が出たことを受け、耐震調査を実施したところ震度6以上でホールの天井が崩落する恐れがあることが判明し、同年10月の第59回大会を最後に使用を中止。現在の全日本吹奏楽コンクールは名古屋国際会議場(名古屋市)をメイン会場として開催されています。
NPOいなかみ