★香美市にゆかりのある素敵な方のご紹介です!
徳弘 博国 さん 香美市社会福祉協議会 事務局長
1月某日、プラザ八王子の会議室。いざ取材開始とiphone(ボイスレコーダー機能)を取り出そうとすると、さっきまで触っていたはずのiphoneがない。幸先悪いスタートで焦るいなかみに対し、「それは大変!」と一緒になって探してくれた徳弘さん。目の前の困っている人を放っておけない。その姿に、いなかみはリアルなアンパンマンを見た。
運命に導かれ、社会福祉業界へ
いなかみ
初っ端からバタバタしてすみませんでした。お話される言葉で思ったのですが、徳弘さん、ご出身は県外ですか?
徳弘さん
はい、東京出身です。高知にやって来たのは平成6年で、香美市社会福祉協議会(以下略、社協)には平成13年(当時は土佐山田町社協)からお世話になっていまして、平成21年から事務局長をさせてもらっています。
いなかみ
そうなんですね~。社協にお勤めになる前はどんなことをされてたんですか?
徳弘さん
土木の分野です。河川や森林などの中の人工構造物をできるだけ自然の生態系に近づけていく技術(近自然工法)の研究開発や実践に取り組んでいる民間の研究所におりました。
いなかみ
それは意外! 理系のご出身ですか?
徳弘さん
いや…、それがまったくの文系で大学は経営学部です…(笑) 近自然工法は学生時代にふと見ていたテレビで知ったのですが、「壊してしまったものを元に戻していく」っていう、そのストーリーの美しさにビビッっと来て、当時その技術の先進地であった高知に飛び込んで来たんです。
いなかみ
ビックリです! そしてそして、そこからなぜ社会福祉の分野に?
徳弘さん
妻が特別支援学校の教師なので、社会福祉は身近な分野といえばそうだったかもしれません。将来のことを考えて転職を視野に入れていたときに、ちょうど社協の求人が出ていて。福祉の仕事は自分には無理なんじゃないかって最初は思っていたんですが、妻に「向いてるんじゃない?」って背中を押してもらって、挑戦してみたら採用していただけたという経緯です。
いなかみ
奥様の資質を見抜く力、すごいなぁ。仕事内容もがらっと変わったと思うのですが、実際に社協の仕事に携わるようになって、やりがいの部分とかいかがでしたか?
徳弘さん
初めは現場の介護職からのスタートでした。ありきたりでいい古された答えですが、利用者さんからいただける「ありがとう」っていう感謝の言葉が、すごく嬉しかったですね。一日仕事が終わった後の充実感がとても気持ち良くて。それまでヘビースモーカーだったのですが、タバコ止められましたもん(笑)
相談事ならなんでも来い!
いなかみ
いま徳弘さんがされているお仕事の、具体的な内容をお聞かせいただけますか?
徳弘さん
社協の事務局スタッフは、いわば“よろず相談員”なんです。地域の方の「こういうことで困っている」「こういうことをしたい」というような漠然とした相談事が、年間200~300件あります。これが、例えば必要な情報を提供するだけで解決する類のものであれば簡単なんですが、そうでない場合が多いんですよね。
そういう相談事について、相談者と一緒になって考えたり、共に悩んだり汗をかく。解決の方向性を探って、いろんな方々に協力のお願いに行ったりしながら、現状から一歩前に先に進むための支援をするんです。
いなかみ
年間200~300件って、すごい数ですね。それだけ多いと、さすがに対応が難しい場合もありますよね?
徳弘さん
そうですね。ただ、僕は同じ業界の方から「ストライクゾーンが広い」って言っていただけるんですよ。子どものこと、障がい者のこと、高齢者のこと、生活困窮者のこと、とりあえずどんな方でもどうぞ!と思ってます。できる限り「できません」は言いたくないんですよね。だって、その方は実際に困っているわけだから。
また、とりあえず寄り添ってさしあげることで、完全な解決とまで行かなくても次の一歩に繋がる何かが残ると思うんです。何でも応えていくという姿勢を見せることで相談されている方の問題解決力を高めつつ、同時に社協の総合力を向上させていくことが、今の僕の役割だと思っています。もちろん、それは一人でできるものではないので、職員に対する意識付けもしています。
いなかみ
寄り添ってくれたり、わかってくれたりする人がいることで救われる部分って大きいですよね。もしお構いなければ、これまでに対応された相談事の中で印象深いものを教えていただけますか?
徳弘さん
ちょうどいま、20代の青年が闘病生活の中で綴った想いを書籍化するプロジェクトを進めています。本の出版に関わることも初めてでしたし、資金の調達についてもわからないことだらけでした。でも、いろんな方々が情報や知恵を提供してくださって、なんとか形になりつつあります。
そんなふうに、みんなの力を借りながらいろいろな相談事に応えていく中で、僕はつながりを作らせてもらえますし、自分の力も付けさせてもらえるんです。そうやって、対応できるキャパシティが広がって来て、今度はその経験を他の誰かに伝えることができるようになります。
【外部リンク】 ※上記プロジェクトの詳細はこちら
『闘病生活の中で書き上げた思いの詰まったテキストを本にしたい!』
https://readyfor.jp/projects/hisaoka_book
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つながり、支え合う地域社会を目指して
いなかみ
徳弘さんの役割って、人と人とをつなげる“コーディネーター”という言葉で表現できそうですね。
徳弘さん
そうですね。“地域福祉コーディネーター”あるいは“コミュニティ・ソーシャルワーカー”と呼ばれたりします。社会的に困っている方が一歩前に進むための支援をすることをソーシャルワークと言いますが、地域の人、もの、情報、ノウハウといったコミュニティの資源を総結集してのソーシャルワークなので、頭に“コミュニティ”が付いてるんです。地域資源を活用するというのが、僕のやり方の特徴だと思います。
いなかみ
移住者の方々なんかもいろいろな不安や悩みがあるでしょうから、社協の存在は心強いでしょうね。
徳弘さん
僕たちの仕事の大きな目標は『孤立させない。一人で悩み事を抱え込ませないこと』ことです。ですから、つながるお手伝いをさせてもらえることができるのであれば、気軽に社協にお声がけいただきたいです。と言っても、いきなりは取っつきにくいかもしれませんので、「困った時は何かしらのお役に立ちたい社協という団体がある」と頭の片隅にでも置いていただきたいです。そして、社協のネットワークをぜひ使ってもらいたいですね。
いなかみ
なるほど~、本当に頼もしいですね。では最後に、徳弘さんがお考えになる香美市の福祉の未来について、思うところを語っていただけますか?
徳弘さん
う~ん・・・言葉で表現しづらいことを頑張って言語化します(笑) 仮に、完璧な福祉サービスとそれを提供する事業体が存在したとして、そのサービスを誰もが享受できる社会があるとします。でも、そんな社会が、本当に幸せな社会なんだろうかって思うんです。不足している状態が当たり前で、その欠けている部分をみんなで補う。“誰か一部の人が”ではなく、みんなが自分のできることをやる。
みんなが等しく困りごとをもっていて、みんなが等しく誰かの困りごとを助けてあげる。支えてもらう側にも支えてあげる側にもなる。一言でいえば、支え合いですよね。そんな社会が理想的なんじゃないかなぁ。その意味で、地域の福祉にはゴールがなくてもいいと思うんです。「こうなったらいいよね」ってずっと言いながら、みんなで支え合っていく地域にしたいというのが僕の想いですね。
いなかみ
いやぁもう・・・私のような煩悩の塊には終始頭が下がる思いのお話の連続でした。今日は長時間に渡って素晴らしいお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!
徳弘さん
いえいえ、こちらこそ!
いなかみ
ところで徳弘さん、少しだけお時間いただいてご助言いただくことって・・・できますか?
徳弘さん
お、もちろん! どうしました?
いなかみ
あの・・・私は最近どうも女性にご縁がなくて・・・
徳弘さん
なんと! それは大問題だ! えーと、そうだな、まずは・・・(略)
※以後の内容はご想像くださいませ(笑)