★香美市にゆかりのある素敵な方をご紹介します!
山と森の店 遊山 店主 入野高彰さん
その名も神々しい、香美市神母木。ここに知る人ぞ知る人生の達人がいる。入野高彰さん(61)。四半世紀勤務した金融機関を早期退職し、趣味だったアウトドアの世界へ転身。その後は水を得た魚のごとく、自分の好きなことに没頭してきた。モットーは「一度きりの人生 大いに遊び 悔いのない日々を皆で楽しむ」
金融業界からアウトドア業界へ
いなかみ
入野さんのことはいろいろと息子さん(いなかみの友人)から伺っていて、人生を謳歌されてる素敵な方だなぁという印象を持っていました。今回、ご本人からじっくりとお話をお聞かせいただけるということで、ワクワクしています。まずは、山に魅せられたきっかけから教えていただけますか?
入野さん
大学三年生の頃に先輩と登った八ヶ岳から見た景色が感動的でね。言葉にならないとはこのことかと。山の魅力に取りつかれたのはそのときかな。卒業後勤めた金融機関でも山の会を立ち上げて、毎月四国の山を巡ったね。三嶺の紅葉なんか、全国の名山にも引けを取らん、息を飲む美しさがある。四国の山って、実はすごいんで。
いなかみ
ここ数年ですかね、若い女性にも山の魅力が見直され始めて、山ガールなんて言葉もできましたよね。
入野さん
そうそう、実は、今年の春から『遊山登山塾』という試みを始めてね。20代、30代の若者が対象で、今年は20人ほど集まってくれちゅう。僕らの世代が元気でいられるのはあと十数年。それまでに次の世代に自然やアウトドアの魅力を伝えていきたいと思いゆう。
いなかみ
(遊山登山塾の写真を見せてもらう。)楽しそう! クリスマスイベントなんかもされたがですね。みなさんいい表情してますね~。
入野さん
その子らぁで自主的な活動も始めたみたいでね。何人かで室戸の駅伝大会にも出るとか言いよった。そんなふうに、山に限らず若い子たちのアウトドアの幅が広がっていくのは嬉しいもんやね。
いなかみ
趣味のアウトドアを仕事につなげようと決心されたのは、どんなきっかけがあったんですか?
入野さん
ん~、もともとはお店をするつもりはなくてね。45歳くらいの頃やったかな、日高(高知の中心部より少し西に行ったところ)でアウトドアショップをやりゆう知人に会う機会があってね、彼に感化されたところが大きかったかな。アウトドアグッズに囲まれて幸せそうにコーヒーを飲んでいる姿がすごく印象的でね。「よっしゃ、自分も人生の区切りで退職してお店をやろう!」と、そのとき思った。49歳で退職して、2002年50歳のときにこの店をオープンさせたがよ。
いなかみ
その方の生き様に入野さんの魂が共鳴したがでしょうね。人との出会いで人生って変わりますよね。
旅の醍醐味は感動を共有すること
いなかみ
お店の他に、確かツアーの企画運営もされゆうがですよね。どんな方々が参加されてるんですか?
入野さん
うちは会員制にしちゅう。会員さんは今150人くらいかな。平均年齢は70歳くらいで、女性がほとんど。男性はどうも影が薄い(苦笑)
いなかみ
わかります、定年退職したうちの両親を見ていても、圧倒的に母の方がアクティブで(笑) なぜ会員制なんですか?
入野さん
やっぱり、顔の見える関係づくりやね。人とのつながりを大切にしたいき。僕の企画する旅は、旅行会社がするようないわゆる観光地を巡るツアーとは考え方が違うがよ。記憶に残る、感動が残る旅。毎回頭を悩ませながら計画しゆう。
いなかみ
(ツアー予定表を見せてもらう)なんと! ホントに毎月開催ながですね。しかも毎回違う内容で・・・タイトルが楽しい(笑) これは会員さんにも大好評でしょうね。
入野さん
ふふ、ツアーの受付は原則として年二回だけやるがやけど、受付日には行列ができるがよ。下見もあるしなかなか大変やけど、何よりも僕自身、企画するのを楽しみゆう。提供する側が心から楽しんでないと、伝えたいことは伝わらんきね。あと、参加してくれた会員さんが後日手紙や電話をくれたりするけど、そういう交流はやっぱり嬉しいなぁ。
いなかみ
ちょっと哲学的な質問になりますけど、入野さんの考える『旅』って、何だと思われますか?
入野さん
そうやな~・・・。旅に感じる魅力は人それぞれ。山の風景や美しい花に見とれる、美味しいものを味わう、温泉につかってふ~っと癒される、買い物を楽しむ。そんないろいろな魅力を、大切な仲間や家族、友人と共に味わうことで、より一層の喜びや感動が生まれる。感動を毎回の旅にどれだけ体験できるか、それが旅の大切な要素であって、醍醐味かな。
香美市の価値を見直し、誇りを持つ
いなかみ
入野さんは、本業以外の地域活動にも積極的に参加されていると思いますが、香美市の未来について思うところを聞かせてください。
入野さん
うーん・・・日本はこれ以上経済成長する必要があるがやろうかね。香美市のような経済成長からは縁遠い田舎には、変化しない安心感や価値というものがあると思う。三嶺を筆頭に、香美市の自然は素晴らしい。自然の他にも、代々受け継がれてきた歴史や文化のようなものを、もっと誇りに思ってもえいがやないろうかね。地元に誇れるものがあるということはすごく大切なことやと思う。
いなかみ
帰る場所、ホッとする場所があるって必要ですよね。そんな役割を香美市が担えたら・・・。
入野さん
そうそう。それに、これだけの自然を活用しきれてない。実は温めゆう構想があってね、龍河洞を拠点にしたスカイマラソンをやってみたいがよ。龍河洞スカイラインからの絶景を見ながら自然との一体感の中で走ったら、それはもう最高やと思うな。
いなかみ
絶対気持ちいいですね。今は寂しくなってしまったインフラと自然のコラボ、実現したらすごく面白い。みんなが身近にある価値の大きさに気付くべきですよね。
入野さん
そうそう、それとあと必要なのはネットワーク。どんな面白い構想があっても、一人じゃ何もできん。立場や世代に関係なく発想豊かなメンバーが集まって力を合わせてこそ、構想が実現に向かうことになる。
いなかみ
なるほど。香美市には素敵な方がたくさんいらっしゃいますが、ネットワークという点ではまだまだ未熟かも。そういうところに移住者の方にも入って来てもらえるといいなぁ。
入野さん
面白いことをやりゆうところには、活気や勢いみたいなものを感じ取って、移住者も集まってくると思う。やりたいことがある人が移住してきたら、僕も協力してあげたり、人の紹介をしてあげたりはできると思うで。
いなかみ
それは心強いお言葉! (チラッと時計を見る)あ・・・すみません、当初予定していた取材時間、大幅にオーバーしてしまいました(笑) いや~、入野さんのお話本当に面白いです。また聞かせてください!
入野さん
話好きやき、またいつでもどうぞ!
山と森の店 遊山
営業時間 10:30-18:00頃
定休日 火曜・水曜
住所 香美市土佐山田町神母ノ木365-12
TEL/FAX 0887-57-0150/0887-57-0153