香美市にいる魅力的な人を紹介する連載記事として「かみめぐり~香美を廻る体験博~」の各プログラムを主催する10人にインタビューを行いました。

うずまき舎

第8回は、『魔法の本棚 自分の物語を探す旅』を企画されました、山の上の本屋うずまき舎店主の村上千世さんにお話を伺いました。

山の上の本屋 うずまき舎

自然豊かな景色を楽しみながら、田舎の山道をひたすらに登っていくと見えくるお店。ここは高知県香美市香北町にある山の上の本屋さん。

うずまき舎
 うずまき舎
駐車場から見える”田舎の画”は広々とした世界。お邪魔した時にはまだ雪がちらついている季節で空気が澄んでいてとても綺麗でした。
うずまき舎
うずまき舎

 

中に入ると木の匂いが心地良く、こじんまりとした空間に整列されたたくさんの本。

その隣には暖炉と外を眺めながら座れるテーブルと椅子があり、来店客は日の入る暖かい場所でほっと一息つきながらゆっくり流れる時間を思い思いに楽んでいる場所。そんな第一印象を受けました。

一般的な本屋さんでは、ジャンルや出版社別で配列するなど本の選びやすさや事務作業効率化のために工夫されていますが・・・
うずまき舎では、本の陳列方法に店主村上さんのこだわりが。

うずまき舎

うずまき舎
「本の配置をとても大切にしています。ただジャンルで分けるのではなく、一冊でも読んだ本があればそこから次々に繋がりが見えてくるように工夫しています。今はどんなに珍しい本でもインターネットで簡単に取り寄せられる時代なので、こんなに不便な本屋まで来る意味なんてなさそうですが、それでも意味があるとしたら、実際に本の中に立つことで、お客さんそれぞれの経験や興味が本棚と繋がって広がって、それぞれが新しい物語を作るような体験ができることなのかもしれません。」と話してくれました。

自分がやらずにはいられないこと

村上さんは、神戸の新興住宅地で育ちましたが、幼い頃から田舎暮らしへの憧れがあったそうです。しかし学校卒業後、田舎暮らしへの手がかりがつかめず、神戸や大阪で販売や企画の仕事に就きます。

そして30代半ば、このままでいいのか悩んだ矢先に『種まきノート』という本を出版されたばかりの早川ユミさんと出会いました。

うずまき舎

『畑を耕し、家事や育児をしながら、自分の欲しいものを作って生きていく』そんな自分の理想とする生活を高知県で実践されていたことを知り、自分もやってみたいと思ったそうです。

当時、何をしたいかが漠然としていた村上さんに、早川さんは「本当にやりたいことは何か」という問いではなく、「自分がやらずにはいられないことは何かを考えてみたら?」という言葉を投げかけてくれたそうです。

(移住のきっかけ等お話はこちら▶︎いなかみだよりNo.40「香美市のインタビュー08_うずまき舎 村上千世さんhttp://inakami.net/immigrant/inakamiletters40-25054.html

そして、ご自身の人生を振り返ってみると・・・

外出した際は用がなくても気付いたら本屋さんに立ち寄っていたこと、何か嫌なことがあった時は自分の環境とは関係のない本を夢中になって読んでいたことを思い出しました。

村上さんの大切な時にはいつも本が身近にあったことから、本がある生活というのが自分には欠かせないものだと気付いたそうです。

 

 

 本と向き合う時間は自分と向き合う時間

 うずまき舎

うずまき舎の店内には『本を処方いたします』と書いた印象的な看板がありました。

「本を読んで心を動かされるということは、本の内容と、その人の経験や記憶と混ざって、あたらしい感情が生まれたということだと思います。それを少しだけ手助けするために、お客さんの子どもの頃の話や、今の心情を聞いて、本をお勧めすることがあります。

仕事など命じられてやってきたことではなく、気付けば暮らしの中に日常的にあったもの、知らず知らずのうちに継続して続けていることなど、自分のルーツを見つめ直していただき、ご自身の物語を、生きることを考えてみる時間にして欲しいのです。」

うずまき舎

村上さんが自分の人生において大事にされている本の1つに※『魔法の学校』という本があります。

その中に、このようなフレーズがあります。

1.本当に望むことができるのは、できると思うことだけ。
2.できると思うことは、自分のお話に合うことだけ。
3.自分のお話に合っているのは、本当に望んでいることだけ。

魔法学校の先生が生徒に哲学的な問いを投げかける、印象的なシーンのひとつなのだそうです。

私もこの本のお話を聞きながら、自分の本当の望みは何なのか、それを知ることが人生においてとても大事なことであると改めて感じました。

※魔法の学校:ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫

 自分の物語を生きていけるきっかけの場所であるために

自分という人格を尊び、自分の物語を生きるために、このうずまき舎という場所が、来た人それぞれの自分探しができる空間にしていきたいと村上さんは話します。

うずまき舎

「そのためには皆が気になっていることなど、自分が先に調べて知識をつけておくこと、自分独自のアンテナを使っていろんな面白い本を取り寄せていこうと考えています。

マイノリティが消されるような世界ではなく、いろんな考えがあっていいし、そうでなければいけないと思うから、この場所に来てくれた人が自分の中に眠っている考えに気付き、いろんな話をすることで、ここに来たら自分の事を大切に考えられる・・・そんな場所にしてもらえたらと思います。」と村上さん。

一般的な本屋さんと一味も二味も違ったお店のコンセプトに、心躍るような楽しみな感情とまだまだ底が見えない深い魅力を感じます。

この記事は私がお店に伺った時の事を思い浮かべながら書いています。

その日を振り返ると、自分に合った素敵な本に出会えることに加えて、お店の雰囲気やにおい、田舎の景色をも含めて一つの作品を見たかのように記憶に残っています。そんなお店を村上さんは”なんらかの物語を売っているお店”と例えます。

ここでしか味わえない、何とも言えない感覚を覚えました。この不思議な記憶は一生涯忘れないような気がします。

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うずまき舎
住所:高知県香美市香北町中谷309
電話番号:090-3612-0296
HP:https://uzumaki.cc

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【外部リンク】かみめぐり 魔法の本棚 自分の物語を探す旅
https://kamimeguri.com/programs/616e198d421aa90001bd19a3

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