NPO法人FUSEとNPO法人いなかみの連携企画「個人事業」をテーマにした連載記事、第17回をお届けいたします。

「ウェディングプランナー」という仕事を香美市に広げていこうとしている女性がいます。さまざまな地域活動に積極的に取り組むフリーランスのウェディングプランナーを始めた梶谷佳代さんにお話を伺いました。

kajitani 2

この仕事を選んだきっかけ

もともと九州でしばらくウェディングプランナーの仕事をしていたんです。そんな長い期間ではありませんでしたが、高知に帰ってくるときも、プランナーの仕事をしたいと思っていました。ですが、そういった会社は高知には少なくて、今までの自分の経験を生かせる仕事は何かと考えて、まずは香美市の観光協会で働くことになり、イベント企画などを担当していました。

その時期に私自身が結婚することになったんですが、高知には結婚式のプロデュースをお願いしたいプランナーさんや会場がないことに気がついて、結局私たちは高知では結婚式を挙げず、主人の出身地である大阪で挙げたんです。

これは私自身が結婚式に強い想い入れがあったのと、高知の結婚式が、この土地独特の文化で成長していて、自分の求めるものとは違うと感じたからです。こうした文化に馴染めず、私と同じように何か違う形で結婚式を挙げたいという方はいるんじゃないか。フリーランスのプランナーは県外では沢山いるけど高知県内にはいない。じゃあ、自分でやってみたい!そう思ったのが独立のきっかけでした。

ウェディングプランナーという仕事

現在のところ、仕事は知り合いの美容室さんからの紹介であったり、また、直接お客様との面識はなくても、ブライダルに関わる機関から紹介いただく形で請け負っています。

私の仕事は音楽から衣装まで演出全てを請け負います。お客様の深い部分まで入っていく仕事です。例えば、お客様が普段はご主人やご両親に言いにくいことなども私がお伺いして、間接的に両家にそれをお伝えする事もあります。

ウェディングプランナーは、当日のパーティーよりも、それに向かうプロセスが大切なんです。これから家族になる人たちのことを知って、話をしながらおふたりらしいウェディングを作っていく仕事なんです。

ウェディングプランナーの需要は地方だと少ない傾向にありますが、都市部では結構多いです。関西、関東圏になると、個人のプランナーさんが何人もいらっしゃって、ホテルや式場にお願いするのに加え、個人のプランナーにお願いするのも選択肢の一つになっています。

ただ、私はまだ駆け出しのプランナーなので、これ一本で生活することは難しく、別の仕事をしながらウェディングの仕事をしています。なので土日も全部使って休みがない状態です(笑)

梶谷さん3 梶谷さん4

「平成28年11月に担当した結婚式の様子をInstagramにアップしたら、そこから一週間で3件の問い合わせが!この仕事のニーズを深く感じました」と梶谷さん。写真はウェディングの仕事中の一枚。「お客様の思いを形にしていく作業」に取り組む姿は輝いています。

香美市で事業を始める人へのアドバイス

私は香美市で生まれ育ったので、この町に育ててもらった気持ちもすごく強いんです。香美市は外から来ると、最初はとっつきにくい、入りにくいという感じがあるかもしれません。だけど、そこを一歩越えると、みんな心を開いてくれるいい方たちばかりで、すごく居心地がよくなります。そこを超えるか超えないかがとても重要だと思っています。

まずは一人でいいので、この人いいなって思うお手本にしたい人に、いろいろ話を聞いてみるのがよいかもしれません。外から来た人だとなかなか受け入れてもらえないかもしれませんし、土佐弁は物言いがきつかったりしますので「うわあ」と思うかもしれませんが、半ば諦めないことも大事じゃないかなと思っています(笑)

自分で事業を起こすということは、信念を持って、どうしてもここでやりたいという強い気持ちがないと難しいです。一回で上手くいかなくても諦めず、手本にしたい人に対しても、物に対しても、何回でも挑戦する気持ちでいることが大切だと思っています。これは私が自分の経験から学んだことですし、やっぱり成功する人を見ていてもそういう人だと思うんです。

10年後のビジョン

高知でウェディングプランナーを育てていきたい気持ちが大きいです。この先、人口はどんどん減少していくため、代を引き継いでいくような仕事ではないことは分かっていますし、景気もすごく上がってくことはないと思っています。なので、自分の会社を大きくするよりも、フリーのプランナーさんを増やしてけたらいいなと思っています。

なので今もこの方は!という方がいらっしゃったら声をかけたりするんです。でも「梶谷さんを見てたら、私にはできないと思う」なんて言われてしまったりも(笑)でも私は諦めません。私自身もライバルが欲しいですし、そういった中で独立できるような方たちを育てたいという想いが強いんです。

あと、10年後は、今の仕事をウェディングプランナーの株式会社にして、そこで得た利益を使って、地域貢献するNPO活動などができればいいなとも思っています。

 

現在はまだプランナーの仕事だけでなく、フルタイムの仕事もしている梶谷さん。仕事が終わればウェディングの打ち合わせや地域活動などで、あちこち動き回る毎日だそうです。「私はウェディングのパートナー会社を5社、香美市にもってくるのが夢なんです」と言う梶谷さん。「絶対あきらめない」というガッツのある彼女の言葉に不屈のはちきん魂を見たような気がしました。今後の活躍が楽しみです。

 

【外部リンク】

■Wedding Partner KAYO KAJITANI (Instagram)
https://www.instagram.com/kajitanikayo/?hl=ja

【関連リンク】
移住者の小さな起業を応援するプロジェクト「いなか・ラボ」スタート
http://inakami.net/works/inakalabo-11381.html

提供:NPO法人FUSE
企画運営:NPO法人いなかみ

この記事を書いた人

14914969_1836255106618008_586265616_n

【プロフィール】

渡辺瑠海 わたなべるみ
ライター、編集者、エッセイスト

放送業界を経て25歳で出版の世界へ。東京でライターとして雑誌企画、書籍制作に携わった後2003年に高知にUターン。書籍、冊子を手がける。著書『田舎暮らしはつらかった』『龍馬語がゆく〜日常をハイに生きる土佐弁』『イヌキー・私とトートバッグ犬の10年』高知新聞連載『はちきん修行記訪ねて候』など。

コメントを残す

必須 ※お名前は公開されます。

<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>