香美市に関わる魅力的な人を紹介する連載記事として「かみめぐり〜香美を廻る体験博〜」の各プログラムを主催する10人にインタビューを行いました。
第一回は、「窯焼き手作りピザ体験」のプログラムを企画されました“ほっと平山”施設長の門田隆稔さん、女将の由紀子さん。
同プログラムのピザは、新型コロナウイルスの影響で消費が減少している食材や地元産品を選んで開発されたメニュー。
お二人の生き方や人生の軸になっている考え方に触れながらお話を伺いました。
ほっと平山の存在
青い空と深い緑。山々の間で清らかに流れる川のすぐそばにある学校。
ここは香美市土佐山田町平山にある宿泊施設、ほっと平山。実はこの場所、平成17年まで実際に小学校として使われていた建物。
過疎化が進み、廃校となる校舎をなんとかして残したいという地域の人たちの想いがつながり、改装して宿泊施設として生まれ変わった場所です。門田さんご夫妻は、施設長と女将として、ほっと平山に加え平山という地域を県内外に発信されています。
ほっと平山は今では珍しい木造の校舎。
『石窯で焼いたパンが食べたい』という地域の人の声を、高知県立大の先生や学生さんの協力によって実現させた『手作りピザ体験』は施設の名物になっているとか。その他にも、この施設を利用して、各種ワークショップ、公民館での映画の上映やアートイベント、婚活や企業の新人研修等も行われています。
施設の活用は対外的なものばかりではなく、近所のお年寄りが集う体操や夏祭りなどもこの場所で開催されており、地域の繋がりを大切にする“ほっと平山”。
地域のコミュニケーションの拠点として、地元の方たちにとってなくてはならない存在になっています。
感謝の気持ちが私たちの行動の根源
何故お二人が平山という土地に人生捧げているのか。
お話を伺っていくうちに見えてきたのが『感謝』の気持ちでした。
隆稔さんは旧平山小学校(現在のほっと平山)の卒業生。校舎の建設がされる頃、門田さんは小学校5年生でした。
門田さんのお父様が当時のPTA会長であったこともり、建設に関わる地域の大人達の背中をずっと側で見て育ちました。
校舎の柱一本一本までが、地域の大人たちが自分たちの手で山から切り出したもの。
苦労した分、地域の人々の校舎への思い入れは強かったことを当時の門田さんも感じていました。
「自分たちのために大人が本気になって動いてくれていることがとても嬉しかったし、そんな人たちがいる平山が誇らしかったです。自分を育ててくれた先生や友達、地域の人々がいるこの平山に何とかして恩返しがしたいという気持ちがその時から芽生えていたのかもしれません。」
自分がしてもらったことへの感謝の気持ちが、今の門田さんの取組みの源になっています。
「ほっと平山として生まれ変わった母校をたくさんの人に知ってもらって、愛してもらえる場所になるように。日々止まらず動くことが自分にできる恩返しだと思っています。この校舎がわかりやすい例ですが、世の中にあるものや地域に根付いている文化や慣習、建造物等にもすべて歴史(STORY)があり、その根幹には人々の想いがあるとよく感じます。。その想いを受け継いで将来に繋げることが自分たちの使命だと思っています。」
と話す門田さんののお話を聞いて、これがほっと平山の原点だと感じました。
大事にしたいと思えることから見えてきたもの
「故郷を想う心は、これまで自分が大事にしてもらったから抱ける気持ちなのだと感じます。そんなことを考えていると、自分がこれからすべきことが見えてきた気がしました。」と門田さん。
門田さんにとってのモットーは『今日を楽しむ、明日も楽しむこと』。
自分が楽しむことで、子どもたちも楽しめる、周りの人間も楽しむことができる。当時幼かった門田さんの一番近くにいたお父様がそうでした。
門田さんを取り巻く大人たちも同じように子どもたちのために本気で熱くなって楽しんでいたそうです。
いい意味でも悪い意味でも、親の考えや発する言葉は子どもにとってとても大きな影響を与えると門田さん。
「何事も全力でやると、案外子どもたちより大人の方が楽しんでいるんですよね。そんな大人がいないと、子どもたちの見る先はないと思うんです。だから、ネットやゲームに走ってしまう子どもが多いのではないでしょうか。私たち大人が、進んで子どもたちと関わって、楽しんで地域に携わることで、子どもたちの一番身近な『大人の見本』になれたら。」
と門田さん夫妻は話してくれました。
平山を地図から消さない
年を重ねていく毎に過疎化を止めることが難しい田舎にとって、今あるものを未来へ繋いでいくことは簡単ではなくなってきています。
そんな中、門田さん夫妻はこう話してくれました。
「平山の良さは田舎だからこその豊かな自然と子どもからお年寄りまで地域のために熱くなれる人がたくさんいる事。そんな平山を発信し続けることで、山奥の小さな村が元気で動いていると伝えたいし、そうやってコツコツ自分たちにできることを継続していくことが、地域の未来に繋がると信じています。
平山を地図から消さないために、ほっと平山はあり続けなければいけないと思って日々活動しています。」
守りたい場所がある。大事にしたい人がいる。
当たり前の場所や身近な存在を、昔も今もこれからも変わらず紡いでいく。高知の小さな村の大きなエネルギーを感じました。
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ほっと平山
住所:〒782-0062
高知県香美市土佐山田町平山459-1
電話番号:0887-53-2076
HP:http://hot-hirayama.jp
Instagram: @hothirayama
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【外部リンク】
かみめぐり「土佐あかうしの肉みそピザ試食会」
https://kamimeguri.com/programs/6176583f421aa900011ea7f3