開店日:2017年8月1日

京都の人気店の店長だった安田さん。
その実力とともに、香美市土佐山田町のえびす商店街で居酒屋を開業された裏話をお伺いいたしました。

三種盛り

 えびす商店街を選んだきっかけ

出身は大阪で、そもそも京都の店で修行を始めた頃から10年後には独立しようと考えていました。それは叶いませんでしたが、それから更に10年。店に迷惑をかけたらいけないので、退職する3年前には経営者にその旨を伝え、その時には店長だったのですが、長男の小学校入学を期に計画通りに退職。

家内の実家が香美市土佐山田町で、家内とは高知に帰ることまでは話し合っていたのですが、始めから土佐山田町に決めていた訳ではありません。このことを親戚関係に伝えたのは退職する1年前ぐらいでした。

その後、義父から「所有者の事情で空き家になり、貸してもらえるという物件がある。不動産屋が入る前に見に来ないか」という話がありました。もちろん、家内の実家には何回も行っていたのですが、それまでえびす商店街は昼間しか行ったことがありませんでした。物件だけではなく、その日は義父と夜の街に出かけてみたところ、期待していたより人がいて、店があるじゃないですか。

それまでは漠然としていて、高知市内に住んで、店も高知市内なかぁという感じでしたが、この夜にえびす商店街のいろいろなタイプの店に行ってみて「ここに決めた!」という訳です。

 実際に出店してみてどうでしたか?

自分がやりたかったことをやれています。
京都の修行時代、先輩が地元のなじみ客が楽しんでくれている店をやっていて、僕はそんな店を出したかったんです。

香美市は保守的と言われますが、よそから来た僕のところにもたくさんの人が来てくれる。僕は運もタイミングも良かった。この商店街で良かったと思います。

ただ、当初はのんびりやりたかったのですが、思ったより忙しくなっているのはちょっと違いましたが…うれしい悲鳴です。

カウンター

 開業する際に大切にしたことは?

周囲の方からは、料理屋なら「座敷に座りたい人が多いで」と言われました。個室や座敷をメインにというアドバイスなのですが、僕はカウンターにこだわりたかった。
お客さんが目の前で料理や会話を楽しんでいる、その内側で料理を作る。時々、食べたいものを聞いてみる、そうするとその方の好みのものが分かったりします。

関西のお客様は時々無茶を言います。メニューに無いのに「兄ちゃん、これ1ッコだけちょうだい」とか、「この魚、フライにして」とか。そんなことを言われると、こちらもどうやったら満足いただけるものがお出しできるか、一生懸命考えます。その中で、新しいアイディアも広がります。

高知のお客様はシャイなのか、まだそんな注文はしてもらえませんが、気軽にこんな感じで声をかけてくれる店にしていきたいと思います。

 準備期間はどれくらいでしたか?

忙しかったですよ。2017年4月に来て、GWが明ける頃までは家のリフォームをしていました。その時にはまだ店には手をつけられていない。もちろん、設計や工事の業者も決まっていない。

どうしようか〜と思っていたところ、ふらっと中町の長吉君にクラフト設計の尾田さんを紹介いただきました。
早速、尾田さんのところに行き、初対面ながら、自分は「こんなことをしたい。あんなことをしたい」と話したところ、一発でイメージどおりの設計図を書いてもらえた。それはもう感動モノ。今の店は、その設計図どおりに仕上がっています。

それから尾田さんに工事業者を手配してもらい、急ピッチで工事が進み、その夏8/1に開店に至るという感じです。

刺し身

 これからやりたいと思っていることは?

まだまだ、今まで学んできた半分しかできていません。

目指すは、材料はとことん地元のものを使って、料理にはもっと関西の色を出していきたい。あえて土佐弁には染まらず、逆に関西弁が強くなるくらいにしていきたいです。わかりませんけどね。

他にもやりたいことがいっぱいあります。
同業他店とも連携して、香美バルのようなお客様が楽しめるイベントももっとやってみたい。同じメニューの〇〇対決で食べ比べ、とか飲み比べとかね。

香美市の催しにももっと一緒にやっていきたいと思います。子どもたちとも一緒にやりたい。
昨年は、土佐山田まつり、奥物部湖湖水祭に店を休みにして参加しました。あるチームで土佐山田まつりのよさこいも踊っていました。

 開業を考える人へアドバイスやメッセージ

人とのつながりを大事にしてほしいと思います。

僕の場合、開業する前からいろいろな会に参加しました。するとそこにどんな人がいるのか、よく分かる。

ありがたかったのは、4/1に来たばっかりの僕たち夫婦を、隣の方が4/2の町内会の花見に呼んでくれたんです。これで一気に人の輪が広がりました。
そんな中で、ご年配の方に「ランチはやらんのか」と言われ、他の店にも声をかけ曜日交替のランチが始まりました。

人のつながりで輪が広がり、話を聞き、調べ、考えるのはとても有効です。
えびす商店街では、いろんな商売が成り立つと思います。

春メニュー

六根「ろっこん」とは、人間に具わった五感と、第六感とも言える意識のことであり、京都で修行してきたお店の屋号でもあります。

土佐で「ろっこん」を満足していただきたいという心意気の安田さん。
これからどんな料理が登場してくるのか、とても楽しみです。

※六根=眼根(視覚)、耳根(聴覚)、鼻根(嗅覚)、舌根(味覚)、身根(触覚)+意根(意識)

安田さんとさターン1

基本情報

住所:高知県香美市土佐山田町西本町1-5-2
電話:0887-53-3059
WEB:https://tosarokkon.com
Facebook:https://www.facebook.com/tosa.rokoon/
Instagram:https://www.instagram.com/tosarokkon/

営業時間:[月~土] 16:00~22:30(LO) ※木曜日除く
[木] ランチ営業 11:30~13:30(LO)  夜営業18:00〜22:30(LO)
定休日:日曜日
席数:カウンター10 座敷 4席×2 6席卓×1(個室利用可能) 計24席
カード:可(VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners)
喫煙:全席可能
駐車場:3台

NPOいなかみ

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