2014年7月23日〜30日まで、香美市土佐山田町平山にある「地域交流施設 ほっと平山」で、「高知・のびのび青空キャンプin香美」(主催:えんじょいんと香美)という催しが開催されました。本キャンプは、東日本大震災を受け、放射線の影響に不安をいただいている親子に少しでもリフレッシュしてもらいたいという想いからスタートし、今年で3年目となる企画です。

【外部リンク】
えんじょいんと香美 WEBサイト
http://enjoint-kami.org/nobinobicamp/

のびのびキャンプ1
えんじょいんと香美WEBサイトより

市民を動かす強い動機は「子ども達のため」

本キャンプを訪れて、最も印象に残ったことは、関わるボランティアの数が非常に多く、皆の本気度が非常に高いという点でした。こうした市民活動の多くは、1年目は意欲的でも、2年、3年と続けば、次第に意欲が下がってくることが多いものです。このキャンプが高い意識で継続されているのは、震災後の不安から3年たった今でも、笑顔が戻っていない子ども達がいるという現実を目の当たりにするからだと感じます。

今回初めてキャンプに参加したボランティアの一人は

「最初は関わることで何か仕事につなげられないか?といった気持ちもあったが、現実を知るとそんな気持ちは一気に吹き飛んだ。個人としてできることをやらなければいけないと強く感じた」

と話してくれました。

当たり前の夏休みを過ごせない親子がたくさんいる

キャンプでは特別なことをするのではなく、香美市の自然で虫をとったり泳いだり、地元食材のご飯を食べたりと、当たり前の夏休みを過ごすだけという内容でした。今回は約30人の受け入れでしたが、応募は100人を超えていたそうです。それだけ不安を抱えて暮らしている人達がいるんです。

「子どもがこんな笑顔で楽しそうにしている姿は(震災以降)はじめて見た」

そう話す参加者の言葉が心に響きました。

のびのびキャンプ2
えんじょいんと香美WEBサイトより

課題に向き合う地域コミュニティーの大切さ

キャンプに参加した人たちが感じている不安は、全体からみれば少数派であるかもしれません。ただ、そうした不安を抱える人たちを支える仕組みは、今はもちろんのこと、これからの社会でも強く求められることになるはずです。

先日、東洋経済オンラインに「2030年、老人も自治体も”尊厳死”しかない」という対談記事がありました。

 

【外部リンク】
2030年、老人も自治体も”尊厳死”しかない(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/43798

 

そこでは、社会保障が回らなくなり「弱者を捨てる」というマイナスの判断をしなければいけない時代が近く訪れる。そうなったとき、社会的弱者を支えられるのは地域コミュニティーだ、といった話が展開されていました。

高知・のびのび青空キャンプin香美の事例は、そんな状況は生ませない!と伝えるように、不安を抱えながらも十分なサポートを受けられていない人達に対して「やならければ!」と集まった地域コミュニティーが支えたものでした。必須ではなくても必要なことがある。そんな必要を満たすため、課題を置き去りにしないために、こうした市民活動や地域コミュニティーが重要であることを改めて感じさせてくれる機会でした。

 

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