2020東京オリンピックまであと1年。
オリンピックでは毎回、種目の見直しが行われていますが、今回のオリンピックで注目される新種目に「スポーツクライミング」というものがあります。

その競技名を聞いてもピンと来ないかもしれませんが「壁を登る競技」と言えばイメージできますでしょうか。
この種目は「スピード」「ボルダリング」「リード」の3競技の合計点で競われます。簡単にいうと、「いかに早く登るか」「5メートル前後の難関の壁をロープなしで登る」「高さ15メートル以上の壁を制限時間内にどの地点まで登るか」の競技で、特に日本人はメダルが期待できることから盛り上がっています。

最近、よくテレビ番組でも見るようになりましたし、専用のジムが出来たり、自宅の壁にボルダリングウォールを作る方も現れてきました。
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実はこの競技、歴史は浅く1940年代後半から1980年にかけて、当時のソビエト連邦が自然の岩場でスピード種目の競技会を開催したのが始まりとされています。

「自然の岩」であれば日本中どこにでもありそうですが、このスポーツに適し、かつ景観も美しい場所となると多くはないそうです。

あったとしても使える岩の数は少数がほとんどなのですが、高知県香美市にはたくさんのポイントとなる岩が集まる場所が「香北町日ノ御子」と「物部町笹渓谷・上韮生川流域」にあり、専門家によるとこれらは日本を代表するエリアであるとのことです。

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まずは「日ノ御子」エリア。

物部川支流「川の内川」に2キロにわたって巨大な石灰岩がごろごろと点在している「日ノ御子ボルダー(ボルダー=岩)」と呼ばれる“熱い”スポットがあります。

ここは2003年頃からクライマーが訪れ始めたそうですが、ある時、とあるブログに「不法投棄ゴミが目立って残念だ」という記述があったそうです。

それを見た4名のグループが立ち上がります。「気持ちよく遊べる環境を作ろう」と、仲間とともに何度も不法投棄のゴミ回収を行い、20トンを超えるゴミを回収。

そうやってゆくうちに、地元の住民の方からも感謝の言葉をいただく中で、日ノ御子が名実共に公開エリアになっていきました。

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そして「笹渓谷・上韮生川流域」エリア

剣山系の山嶺と矢筈山を源とする2つの川は高い透明度を誇り、春は鮮やかな新緑、夏はエメラルドグリーンの淵、秋は見事な紅葉、冬は南国の雪でクライマーを迎えてくれます。
特に夏は素晴らしく、川に降りると秘境のような世界。

専門誌には「渓谷の中はマイナスイオン200%、天を衝く巨岩が立ち並び、その底を流れる透き通ったエメラルド・グリーンの川、日常から遠く掛け離れた別世界感がすごい。」と表現されています。

通常の岩は川の影響で形を変えていることが多いのですが、ここは上部まで元のままの状態が多数見られ、天然記念物級の異彩を放つものさえあります。

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ボルダリングは誰でもできるスポーツです。

でも、スポーツなのでルールがありますし、環境や地域の方への配慮といったマナーも必要です。

また、自然の岩を対象とするボルダリングは岩の欠落や転落の危険が伴います。
これらを知ることによって、事前に危険を回避することができますし、みんなが楽しく遊ぶことができます。

ボルダリングをせずとも、これらのエリアは川遊びに絶好の場所。特に子どもたちにとって川遊びは、楽しいだけでなく、バランス感覚を自然に身につけることができる絶好の機会。

今年の夏は、美しい川のエリアへ、出かけてみてはいかがでしょうか。

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ご紹介した2つのエリアには、それぞれボルダリングの専門書が出版されています。
興味ある方はぜひご覧ください。

参考書籍

NPOいなかみ

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