知る人ぞ知る「土佐打刃物」。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、それがどれだけすごいのかは、あまり知られていないような。。。(^^;

日本の有名な打刃物産地を北から順にご紹介すると、

燕三条(新潟県三条市)、武生(福井県武生市)、関(岐阜県関市)、堺(大阪府堺市)、播州・三木・小野(兵庫県三木市・小野市)、九州地方などで、土佐(香美市・南国市・須崎市・高知市・香南市・いの町等)もここに並びます。

土佐打刃物製造見学4

その歴史は古く、約700年前にさかのぼります。
鎌倉時代後期、徳冶元年(1306)大和国より刀鍛冶・五郎衛門吉光が土佐の国に移住。その一派が戦国末期まで繁栄し、打ち続く戦乱の世で武具刀剣等の需要に応じたとの記録があります。

森林率全国№1の土佐の地にあっては刀剣鍛冶の影響は、農業・山林用打刃物鍛冶とも技術的にもあいまって、多くの鍛冶屋が土佐国内に広がり、天正18年(1590)土佐一国を総地検した「長宗我部地検帳」には399軒の鍛冶屋があったと記されています。

そして、同年の豊臣秀吉の小田原征伐に参戦した土佐藩主長宗我部元親は、佐渡から熟練した刀鍛冶を連れて帰り、ますます技術面も磨かれていったと思われます。

その後、江戸時代初期、財政が窮迫した土佐藩は元和改革(1621年)で森林資源の確保や新田開発の振興政策を遂行。ここで大きく農業・林業用打刃物の需要が拡大し、土佐打刃物の生産量、品質が格段に向上しています。

出典:鉄と人と技と 土佐打刃物のいま 作・画 かつきせつこ 高知県土佐刃物連合協同組合
出典:鉄と人と技と 土佐打刃物のいま 作・画 かつきせつこ 高知県土佐刃物連合協同組合

特に香美市エリアは寛永十六年(1639)からの山田堰の建設により、新田開発と水運の拠点となり、ここから流れる用水が新たな農地を生みだしました。また、山田堰がある神母ノ木(いげのき)地区は山からの物資、特に搬出材の集積地ともなり、数多くの鍛冶職人が仕事場を構え製材用の鋸や山仕事用のナタや斧、農作業用の鎌や鍬を生産するようになっていきます。

神母ノ木周辺の職人が作りだす鋸には片地村の刻印が押され、久礼田・新改の鎌、秦泉寺の斧とともに全国に名を知られるブランドとしての地位を確立。

こうして藩政に対しての鍛冶屋の切磋琢磨の貢献が、他に比類なき土佐打刃物を生み出してきたのでした。

土佐打刃物製造見学2

でも、品質はすばらしいとしても、ネットも電話もない時代に、なぜ土佐打刃物は全国で有名になったのか。その立役者は、高く険しい山から大木巨木を見事に切り出す山男たち「杣(そま)師」でした。

土佐の杣師はその卓越した山林作業技術が高く買われ、全国各地の山仕事の現場にかりだされることになっていきます。当然、土佐の杣師たちには常に大切な相棒としての土佐打刃物の道具がついて行きます。

切れ味、耐久性、使い勝手のよさ。山仕事の一級品としての土佐打刃物の名前は、土佐の山男の仕事ぶりとともに日本全国に広がっていったのでした。

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そもそも、なぜ、土佐打刃物の品質はすばらしいのでしょうか。
それは昔から変わらない製法「古式割り込み鍛造」にあります。

簡単に言うと日本刀の素材にもなる安来鋼を、軟鉄の地金に抱かせたプレートを鍛える方法で、硬度の異なる素材を併せて熱し、鍛えることで折れず、曲がらず、使い勝手のいい刃物になっています。

日本刀の作刀技術から生まれた秘伝の自由鍛造を引き継いで現在に至る土佐打刃物は、ここが安売り刃物との大きな違いです。製法の定義も定められていますので、興味のある方はぜひ土佐打刃物流通センターのホームページをご覧ください。

歴史的にもはっきりした出自を持ち、優れた道具として日本の産業とともに発展してきた土佐打刃物は、平成10年(1998)に通商産業省(現在の経済産業省)より伝統的工芸品産地指定を受けています。
そして、この伝統技術を後世に伝えるべく「鍛冶屋の学校(仮称)」が次年度から設立に向けて動き始めるようです。

土佐打刃物製造見学5

本物の土佐打刃物を手軽にご覧いただけるとっておきのイベントがあります。お家に眠っている刃物をお持ちいただくと、プロに研いでもらえるコーナーもあります。(有料)

この機会に、ぜひ本物の土佐打刃物の世界に触れてみてください。

第37回 刃物まつり

日程:10/20(土)〜21(日)

場所:高知県立鏡野公園

詳しくは、こちらのチラシをご覧ください。

第17回 刃物供養菜祭

日程:12/1(土)〜2(日)

場所:協同組合土佐刃物流通センター

参考出展

協同組合土佐刃物流通センター

香美市観光協会 土佐の香美市観光情報

NPOいなかみ

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