国道195号線沿いに、手袋工場&直売所がオープン!!

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店舗前に貼り出された「てぶくろや門田商店」の文字が気になり、お話を伺ってきました。

ご主人、門田晴雄さんは、日高村で30年近く手袋の仕事をされ、今年土佐山田町神母ノ木に移住、工場も移転されました。

移転には他の市町村もたくさん検討されたようですが、香美市に決めた理由は「市役所の窓口担当者の対応がとても良かったこと」だそうです。

門田さんは「今までたくさんの人に支えていただいたので、仕事を通じて人と人をつなぐことを続けていきたい。香美市に来てからも、機会トラブルで困っている時にはカワムラ手袋(楠目)の方に親身に助けてもらい、ビジネスを続けることができるのはお世話になった人たちのおかげ」としきりに言われます。

今は取引先同士を繋いだり、障害者施設の子どもたちを支援するために、軍手の事業を援助されています。

せっかくなので、門田さんに、知られざる軍手の世界を教えてもらいました。

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たかが軍手、されど軍手

ホームセンターでもスーパーマーケットでも格安で販売されている軍手。

今の時代“軍手なんて外国で大量生産してるんだろう”なんて思っていたら、意外な事実が…

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軍手の価値を左右する大きな要因は「重さ」と「目の細かさ」だそうです。

まず、「重くなる」ということは「厚さ」があるということ。通常販売されている手袋は2本編みという手法で1ダースの重さは450〜600gぐらい。これがいい製品になると、糸の本数が増える=厚みが増し、重さは1kg近くなるものもあります。

一番厚い手袋を使ってくれているのは、山の上の採石場だそうです。ここは何もかもがガリバーの世界。公道走行出来ない巨大ダンプはタイヤを固定しているネジ一つでも何キロもある代物なので、落としたら大変。さらに冬は雪に囲まれた現場で作業するため、寒さ対策としても厚さが必要なのだそうです。

次に、「目の細かさ」。これは単純に使う針の大きさ。一般的には7ゲージという大きさの針を使用するらしいのですが、薄くて、使用感が優しいものなら10ゲージ、もっと細かい作業用には13ゲージなんてのもあるそうです。

繊細な軟弱野菜なんかを扱う現場だと、そっと扱うことを求められるため、通常のものだと商品を痛めてしまう可能性があります。

なるほど“いろいろあるんだなぁ”と話しを聞いていると、さらに奥深いものが…

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「糸」の話

なんといっても品質を大きく左右するのは「糸」。

お話を伺った門田さんが主に使っている糸は、純綿(パキスタン製)、特殊紡績糸、今治製綿糸の3種類。それぞれにこだわりがありました。

綿にこだわりたいのは、火を使う場面。化学素材が少しでも入っていると、火が飛んできたときに軍手で火傷をする恐れがあり、鍛冶屋さんなどの職人さんに重宝されているそうです。日本製はヨリがきつく軍手では使い勝手が悪いために、いろいろ探した結果、パキスタン製を利用しているそうです。

特殊紡績(特紡)という糸は、簡単に言うと廃棄された布を綿状に戻し、ヨリを掛け直して糸にしたもの。強力な糸になるため軍手にはピッタリ。ただ、とても手間がかかるので、これを作っている工場は日本で3ヶ所しか残っていないそうです。軍手に使われる特紡糸は、環境にやさしいリサイクル繊維なのです。

ちなみに、一般的な軍手は紡績工程を機械化した空気精紡(空紡)と言われるもので、どうしても仕上がりがフニャフニャになってしまうようです。

今治製の綿糸は今治タオルで使われているもの。もちろん純日本製かつ高級糸で、純綿と特殊紡績の間を取り持ち、しっかりした、いい軍手に仕上がるとのこと。

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なんで国産??

「使う人が怪我をしない」というのが、もともと軍手を使う目的。

機械工場や職人さんが特に軍手にこだわるのはなぜか?

国産機械や職人さんの一番の強みは「研ぎ澄まされた技術」。一定水準のものづくりには、その技術を支える経験やカンも大きな要因になります。そこで、少しでも感覚が鈍ると、出来上がる商品レベルも違ってきます。また、工場では機械に巻き込まれる恐れもあるため、安全対策も大事。

外国製の手袋はどうしてもほころびやすいものが多く、品質も一定になりません。

職人の研ぎ澄まされた手の感覚を一定レベルで支え、さらに使う人の安全を守るためには、それなりの手袋が必要なのです。

門田商店では、軍手を製造する機械の回転数を意図的に遅くしています。この機械は和歌山県の会社が作っているもので、普通の回転数でもいいものをたくさん作り、儲けることもできるのですが、それを敢えて回転数を遅くすることで、丁寧に、お客様のニーズにあった商品を確実に生産することを重要視しています。

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テレビを見て、実はハラハラしています。

手袋の指先が余って使いにくそうに働く女性の方、テレビ番組に出ていたブカブカの手袋で農作業体験をする子どもたち。作業用手袋で余っている部分があったり、ほつれた糸が出ているとロクなことがありません。

と、門田さんはドキドキしながら、手袋を使っている人を見ているそうです。

門田さんの店では自前の機械で一つ一つ作っているので、いろんなサイズを自由に作ることができます。かつ直売できるので、いい製品でもそんなに高くありません。

たかが手袋、されど手袋。

みなさんも一度、ご自身が使われている軍手を見直してみてはいかがでしょうか。

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てぶくろや門田商店

土佐山田町神母ノ木376−3

問い合わせ ℡0120−102961(テブクロイチバン)

(工場直売もあります)

 

 

 

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