押宇士 結クラブ (オシウドユイクラブ)を運営されている、押宇土工房さんへお邪魔しました。 (押宇士 結クラブについてはこちらをどうぞ) そこで得た体験は、私と私の家族の時間をとても豊かにしてくれるものでした。
押宇土工房さんでピザ焼き体験
2023年12月のまだ暖かい時期、子ども達と一緒に押宇土工房さんへピザ焼き体験へ行ってきました。
私はNPO法人いなかみに2023年7月に採用され、移住者さんのことを知ろうといなかみライフを読み始めました。 その中で、高村さんご一家の記事「かみめぐり取材.6〜人生に一手間を加える楽しみ〜押宇土工房」を読み、とても興味をもちました。と言うのも、高村さんの息子さん匠一郎さんと私の息子晴喜(以下ハル君)には発達障害という共通点があったからです。
高村さんはNPO法人の理事でもあり、ミーティングでお会いした際にハル君のことを相談。高村さんに「一度遊びに来るといいよ!」と声をかけてもらい、ハル君とハル姉ちゃんと一緒にお邪魔させてもらうことになりました。
子ども達は、それぞれでイキイキと体験
ハル君は初めての場所に最初は固まるも、ここは遊べる場所だと認識するとニコニコしながら敷地を散策。 3歳10ヶ月になるハル君ですが、走ったりジャンプすることができなく、最近やっと段差を上り下りできるようになったばかりです。それでもテラスの段差を何回も上り下りし、トコトコ散策していました。
初めて「イタイ」と発語!
散策中ハル君の足の上にハシゴが倒れてきて、どうするのかな?と様子を見ていたところ初めて「イタイ」と発語。
というもの、ハル君は発語自体が普段からほぼなく、療育では簡単なジェスチャー(両手を合わせてちょうだいなど)も交えながら表現していることが普段の様子で、発する言葉としては「ママ」という程度だったのです。 それなのに「イタイ」と発語!
私はその状況にビックリし、発語したことが嬉しく喜びながら助けに行きました。
ハル姉ちゃんはハル君に邪魔されながらもピザ作りを楽しみました。ピザの具材を好きなように並べ、自分好みに飾り付け。
高村さんにいろんなことを教わりながら、ピザ焼きの他にもお芋を洗うところから始まる焼き芋など初めての体験をたくさんしました。服が水に濡れることも気にせずお芋を洗い、丁寧にホイルと新聞紙で包んでいました。
高村さん手造りの窯に入っていく、ピザとお芋の行く末をしっかり見届けるハル姉ちゃん。家ではハル君がいることで我慢させることの多いハル姉ちゃんも、今日は目がキラキラしていました。
丁寧な暮らしは心豊かに
高村さんはピザだけでなく、自家製ベーコンも作ってくださいました。豚肉に塩をして数日間寝かしたものを目の前で燻製に。他にも出してくださったお料理の中には、美味しそうに盛られたかぼちゃのサラダとごぼうの唐揚げがありました。手渡された取り皿もご自身が陶芸で制作されたもので、とても素敵なお皿です。
ピザ作りに焼き芋、自家製ベーコン作り、陶芸。全てを真似しようと思うと、もちろん時間も手間もかかりますが、とても丁寧な時間の過ごし方を垣間見せていただきながら過ごしました。
そのほかにも、家の中には絵画が飾られていて、それもご自身が何年も前に描かれたものだそう。ゆくゆくは敷地内の蔵をギャラリーにされたいとの事でした。現在は一人暮らしをしたいという息子さん匠一郎さんのため、母屋の横の一軒家を自らの手で改修中。
大変忙しく見えましたが、それをとても楽しんでいる様子が心に残りました。 以前掲載された、かみめぐり取材.6〜人生に一手間を加える楽しみ〜押宇土工房の記事の中で印象に残る一言がありました。
「子どもを大事にすることも必要だけど、親自身の幸せも必要なのではないか。親も子どもも両方が楽しい方が、子どもにとってもいいのではないか」ということに気づいた
私は、親の幸せは子どもと一緒に日々生活をしていくことが幸せだと思っていました。この記事に出会うまで、親自身の幸せや楽しみ方を考えることすらなかったのです。
食事で提供されたごぼうの唐揚げは、息子さんの匠一郎さんがご自身で揚げたとのこと。発達障害のある方が「揚げ物をする」。油で火傷しないか、怪我をしないかなど心配になり、どうしても躊躇ってしまう行為です。ですが、その行為を止めさせない高村さん。その結果、最近は息子さん自身が、自分の食べたい料理を検索して自分で作っていると話されていました。
そのことをお聞きし、子どもが「少し頑張ればできるであろうこと」を私自身で取り上げていたことに気がつきました。 服が濡れるから、手を切ったり火傷したら危ないから… 子ども達ができることも、できないことも先回りして私が発言したり手を出していました。 それは、子どもに手を出されたら時間がかかってしまい面倒という自分都合の理由で、子どもたちの可能性を止めていたのでした。
高村さんは子どもが「手伝って」と言うまでは手を出しません。子ども達に色々とお手伝いをさせてくださいました。ハル君も一本一本スプーンやフォークを運んでいましたが、渡されるたびに高村さんの奥様もニコニコ受け取ってくださいました。
高村さんご一家が、ピザ作り体験や一緒に食事をするなど、今日1日「食」を通して「親子で楽しむ」ことの大切さを気付かせてくださいました。
これからの時間の重ね方
私は、時間がかかり過ぎてしまうことに対して段取り良く、効率よく行うことを第一優先に考えていました。 その結果、時間がないという理由で、私自身の「自分が好きなこと、やりたいこと」がわからなくなり、子ども達のことを最優先にしていたようです。
ハル君の為にと、ハル君のリハビリの予定も出来る限り詰め込んでました。 高村さんと話しているなかで、送迎や付き添いをする私もハル君自身も、少し疲れているということに気がついたのでした。
今回の体験を通して思ったことは、親に余裕がないと、子育てが柔軟にできないと気づかせてくれました。子どもも大事だけど親自身の幸せも大事。
高村さんは「やりたいことがあって忙しい」。 私は「やらないといけないことがあって忙しい」。この2つは全く別のものなのだということを今回の体験を通じて気づきました。「やらないといけないこと」を心に余裕を持ち、楽しみながら「やりたいこと」に変えて行こう。
子どもとの時間も大切だけど、自分が楽しむ時間も大切。これからは無理をせず出来ることから、毎日楽しみながら、ゆっくりと丁寧に子ども達と時間を重ねていきたい。
まずは週一回でも、イベントのように子ども達と一緒に食事作りを楽しもうと思います。 記事作成:NPO法人いなかみ