土佐町読書推進コーディネーター 古川 佳代子 先生講座レポート

(2025年9月12日香美市ファミリー・サポート・センター 子育てサポーター講習会)

香美市ファミリー・サポート・センターでは、地域全体で子育てを支えるための取り組みとして「子育てサポーター講習会」を開催しています。

――アタッチメント(愛着)を育む、かけがえのない時間――

絵本を読み聞かせる時間は、子どもにとっても読み手にとっても、心をやさしく整えてくれる“リセット”のひとときです。読み手も聞き手もページをめくるたびに気持ちが落ち着き、心が平らになっていきます。何歳になっても、誰かと一緒に絵本を読む喜びは特別なもの。誰かが「あなたのために」と時間を割いて本を読んでくれる――その体験は、子どもの心に深い安心感と「自分は大切にされている」という確かな感覚を残していきます。


年齢別・絵本選びのポイント

1歳未満〜2歳ごろ

赤ちゃんは視覚よりも聴覚からの情報を優先する時期。

  • 輪郭がはっきりとした絵
  • 鮮明でコントラストの強い色彩
  • リズムの良い言葉(意味や物語性はなくても大丈夫)

耳で楽しめる絵本を選ぶことで、声のリズムや音の繰り返しが心を穏やかにし、親子の安心感を深めます。

3歳から

発達段階に合った物語を楽しめるようになります。

  • 身近な出来事を発展させたストーリー
  • 洗練されたリズム感のある言葉
  • 想像力や創造力を育む内容

大人が自分のために本を読んでくれる体験は、子どもの「聞く力」「考える力」を大きく伸ばしていきます。

小学校低学年〜高学年

知識と好奇心を満たす読書へと世界が広がります。

  • 科学や歴史など知識と結びつく本
  • 世界が広がるからこそ、命や死、戦争など深いテーマにも少しずつ触れていく

考える力・感じる力を養い、子どもの世界観を豊かに広げます。


アタッチメント(愛着)とは

アタッチメントとは、子どもが「この人がそばにいてくれるから安心できる」と感じ、信頼と愛情の絆を育むことを指します。

  • 乳幼児期に築かれた安心感は、
    自己肯定感や他者への信頼、社会性の土台となり、
    将来の人間関係や心の安定に大きく影響します。

絵本が愛着形成に果たす役割

絵本の読み聞かせは、まさに愛着形成の宝物です。

  • 読み手が子どもと目を合わせ、声を届け、ぬくもりを伝える
  • 子どもが安心して耳を澄ませ、想像の世界を共有する

これらの時間が積み重なり、
「自分は愛されている」「守られている」という感覚を子どもの心にしっかりと刻んでいきます。
たとえ物語をすべて理解していなくても、やさしい声・一定のリズム・寄り添うぬくもりこそが、子どもの心を満たし、親子の絆をより強くしていくのです。


絵本を通じて広がる“特別な時間”

絵本は、お母さんやお父さんだけが読むものではありません。
おじいちゃん・おばあちゃん、兄姉、地域の大人など、子どもを見守るすべての人が、絵本を通じて愛着を育む存在になれます。
「自分のために時間を使ってくれる大人がいる」――この特別な体験こそが、子どもの心に深い安心感とつながりを残す宝物です。


まとめ

絵本は物語を届けるだけではなく、親子や大人と子どもをつなぐ“心の緩衝材”です。
読み手も聞き手も、絵本を通して気持ちが平らになり、共にリセットされます。
どの年齢になっても一緒に読む時間が特別であること、そしてその積み重ねが愛着(アタッチメント)を育て、人生を支える心の基盤になる
こと――
それが、絵本の読み聞かせが持つ、何よりも大切な力なのです。

記事作成:NPO法人いなかみ

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