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地域おこし協力隊として活動する馬場智也さん(25)は香美市土佐山田町出身。愛媛県の松山大学を卒業し協力隊になって2年目となる。現在は、土佐塩の道の運営サポートをメーンに活動している。

 

▪️馬場さんが担当している塩の道って?

 

「土佐塩の道」は、今から400年ほど前に海辺の町・赤岡でとれた塩を山深い物部の里まで運ぶため、人々が行き来していた道。現在は、香美・香南両市の有志で構成される土佐塩の道保存会により、ウォーキングやトレイルランニングなどのイベントが毎年開催されている。

過去の記事:生活を支えた「塩の道」

http://inakami.net/enjoy/shio-no-michi-17808.html

 

 

 

▪️学生時代に手伝った「土佐塩の道」のイベント

 

親戚が地域おこし協力隊だったことをきっかけに、大学の夏休みに地域イベントを手伝うことがあった馬場さん。現在の担当でもある土佐塩の道の「トレイルランニング」の手伝いをして、地元の方が喜んでくれたことにやりがいを感じ地域おこし協力隊として就職することを決めた。

 

 

実際に地域おこし協力隊となり、社会人としての経験値が足りないと感じるという馬場さんの目標は、塩の道を利用して地域の人たちが困っていることを解決することだ。しかし、1人では解決できないことも多く難しさを感じているという。

 

上総「具体的に、どのようなことに難しさを感じますか?」

 

馬場「やはり人手がいないです。塩の道の活動は、15年程前にリタイア世代の方々が始めていることなので、組織としての高齢化も感じています。新しい人に参加してもらうと言っても、地域自体に担い手・若者が減っているのが現状で、私自身、地域お越し協力隊(市の非常勤職員)だからできることだと感じることがあります」。

 

 

上総「反対に、どんな時にやりがいを感じますか?」

 

馬場「自分は料理ができるとか機械の資格を持っているわけではないので、そんな自分が役に立ったと言ってもらえて、喜んでもらえたということがすごく嬉しかったです。」

 

 

上総「土佐塩の道以外には、どんな仕事を担当されていますか?」

 

馬場「環境整備というのも仕事に入っていて、集会所や道路の草刈りや整備をすると、地域の方に喜んでもらえることが多いです。見回りをした方がよいと思う地区は個人の方のご訪問もします。担当する庄谷相や拓は高齢者が多く家々が離れているため、月に1~2度のペースで見回りにいきます。その他には地域のお祭りをお手伝いしたりもします。地域おこし協力隊として3年という限られた期間の中でできることを考えると時間がないなと感じます」。

 

上総「限られた時間のなかで、馬場さんが大切にされていることはなんですか?」

 

馬場「地域の人たちが望むことと、自分がやらなきゃいけないことにズレが生じることもあります。求められたことだけをこなしていても本質的な問題の解決にはなりません。例えば、地域の方から買い物を頼まれることもあります。しかし、私の任期が切れた時、また地域おこし協力隊の制度を国や市がやめるとなった時に、結局一時的な助けになってしまう。もちろん頼まれてできることはある程度やった方がいいと思っていますが、長期的にみた時に問題が解決されていないなと」。

 

上総「なるほど。けれど、本質を解決するのは、簡単ではないですよね」。

 

馬場「だからこそ、定住を促進することが大事になってくると思います。最近、定住や移住とは別に、関係人口という言葉が出てきました。地域と地域外の人との交流が増えることは良いことだと思っていますが、どうしても交流だけじゃカバー出来ない部分で問題が起こっています。そこで生活しないとカバーできないことがたくさんある。定住は”地域と生活の維持”の力になると思っています。」

 

 

3年という限られた期間の中で、いかに長期的な目線で課題解決に取り組むか。目の前の課題解決だけでなく、地域の維持のために問題の本質を考える馬場さんの取り組みに注目だ。

 

インタビュー・記事・写真 上総 毬椰

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